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政府 佐渡金山遺跡を世界文化遺産に推薦へ 韓国主張「戦時下強制労働」は争点に?

(江戸時代に金を求めて山を「掘り割った」 史跡 「道遊の割戸」)


28日のNHKニュースによると、政府が佐渡金山遺跡(新潟県佐渡市)について、2023年の世界文化遺産登録を目指して国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦する方針を固めた。
韓国が「戦時下に韓国出身労働者の強制労働があった」と反対の意向を示しており、政府の対応が注目されていた。


政府内には推薦見送りの考えもあったが、安倍元首相ら自民保守派には韓国と歴史論争をして登録を目指すべきとの強硬論もあった。


24日の衆院予算委員会で、安倍氏に近い高市早苗氏自民党総務会長は、「金山は江戸時代に発展した産業遺産であり、韓国は当事者ではない」として、「堂々と(歴史問題の)議論をして登録を働きかけるべき」と推薦するよう迫った。


岸田文雄首相は「いわれなき中傷には毅然と対応する。(韓国側の)歴史認識にかかる問題は重視している」と発言し、「国際広報を含め取り組んでいきたい」と述べていた。


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佐渡金山は江戸時代に幕府直轄で本格的に採掘された。当時としては高水準の坑道掘削技術をもっていた。経済的にも栄え、本州から人、文物が佐渡に入り、独自の文化を育んだ。掘り出した金は大判小判として流通し、幕府の財源だった。


佐渡金山の世界遺産としての申請対象は、「江戸時代まで」に限定している。この点が「韓国は当事者ではない」という理由だ。


岸田首相が「いわれない中傷」というのは、「韓国出身者の強制労働があった」という韓国の主張が念頭にあると思われる。


「強制」の問題はおくとして、日中戦争が始まったのに伴い、帝国政府が朝鮮半島から労働者の「動員」を始めたのは1939年から。記録によると、佐渡鉱山でも同年から朝鮮半島出身の労働者が働いていいる。


当時の記録を元にした論文は、


「佐渡鉱業所は1940年2月から1942年3月までに、6次に渡って総数1005名の朝鮮人労働者を「募集」で集めた」と書いている。それ以降、1944年まで「動員」している。


(佐渡鉱山と朝鮮人労働者1939~1945 広瀬貞三氏 新潟国際情報大学情報文化学部紀要)


上記論文によると、この間に死亡者10人、逃走148人との記録がある。労働環境は過酷なものだったと思われる。


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2015年に世界遺産に登録された、端島(通称・軍艦島)を含んだ「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」でも、韓国から「端島(や当時の炭鉱)で戦時下に朝鮮半島出身者の強制労働があった」として反対された。


このときは、朝鮮半島からの労働者について説明をつけることで、遺産登録にこぎ着けたが、昨年ユネスコの委員会は説明が不十分との決議をつけている。


高市総務会長は「(推薦した)結果はどうあれ堂々とユネスコで議論するべき」と言っている。明治産業革命遺産の一部である「端島」についての現状からして、異論が出る可能性はありそうだ。


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上記紹介の論文はネットで読める。


https://cc.nuis.ac.jp/library/files/kiyou/vol03/3_hirose.pdf


地元佐渡市の「佐渡相川の鉱山都市景観 保存調査報告書」は、戦時中の佐渡金山の朝鮮人労働者は、約千人に上るとしている。

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