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ロシアのウクライナ侵攻と ドイツ「天然ガス」確保の関係/背景にある「ノルドストリーム2」とは


ウクライナ国境に展開するロシア軍は24日、複数の地域からウクライナに侵攻し、空爆によって死傷者が出たとも伝えられる。


プーチン大統領の侵攻決定は、ロシアからドイツへ天然ガスを送るパイプライン「ノルドストリーム2」(NS2)の稼働停止が引き金になった可能性がある。一方、米欧はさらに経済制裁を強める姿勢をみせている。


経済制裁は弱いロシア経済にとっては打撃だが、それがさらなる紛争の拡大、経済混乱につながりかねない面もある。


バイデン米大統領は、プーチン大統領が「特殊軍事作戦を承認した」と発表する同じ日の23日、事業会社「ノルド・ストリームAG」とその経営幹部に経済制裁をかけると発表した。
その前日にはドイツのショルツ首相が、NS2の事業承認を凍結することを発表しており、それを裏書きした形だ。


「ノルドストリーム」はロシアからバルト海の海底を通りドイツにつながる、長大なガス輸送パイプラインだ。


現在、NS1と呼ばれる最初のパイプラインは2011年~2012年に完成した。今回焦点となっている「ノルドストリーム2」は昨年秋に完成して、稼働の承認を待つ状態だった。


天然ガスは、脱原発をかかげるドイツにとって重要な位置づけにある。最近では化石エネルギーとしては二酸化炭素(CO2)の発生が少ないエネルギー源として、より必然性が増している。


「ノルドストリーム」プロジェクトは2005年に当時ドイツ首相だったシュレーダー氏がロシアと建設に合意した。「原料」の天然ガス開発にも独企業がかかわる大事業だ。


シュレーダー氏はプーチン氏と親密な関係だったことでも知られ、首相を辞めた後の2006年3月には、今回制裁の対象となる「ノルド・ストリームAG」の役員に就任している。(制裁対象か否かは不明)


ウクライナ情勢が緊迫していた今年2月4日には、ノルドストリームの大株主であるロシア国営ガス企業「ガスプロム」がシュレーダー氏をガスプロムの取締役(候補)に指名している。ロシアはNS2の稼働に向けた独政権への働きかけを期待したと言われている。


シュレーダー氏は2017年にロシア国営の石油会社、ロスネフチの会長に就任しており、ロシアの財政を支える資源ビジネスと深く関わる。ドイツ国内にはシュレーダー氏が政治家引退後も長期にわたって「ノルドストリーム」から報酬を得ていることに批判の声もあるという。


NS2が稼働停止となり、ロシアの軍事侵攻に到ったことからすると、ロシアがシュレーダー氏に期待した役目は失敗に終わったと言わざるをえない。


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24日の東京株式市場は、ロシアのウクライナ侵攻による事態悪化を懸念して売りが先行し、日経平均株価は5営業日続けて下落した。終値は22日に比べて478円安の2万5970円だった。


市場の一部には「ロシアのねらいはNATOの東方拡大阻止と原油の高値維持で、経済制裁のマイナスを考えれば本格的なウクライナ攻撃はないだろう」との楽観的な見方があったが、事態は逆に動いたことになる。


(株価は上がる方がいいので市場はおおむね楽観的に考えたがる傾向がある)


証券・金融市場だけでなく原油・エネルギー市場も波乱含みの展開が予想される。

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