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北方領土返還は振り出しに ロシア、平和条約交渉を継続せず ビザなし渡航、共同経済活動も中止に

(首脳会談後握手する安倍晋三首相=当時、とプーチン大統領。)


ロシア外務省は21日、日本との北方領土問題を含む平和条約交渉について「継続する意思はない」とする声明を発表した。ロシアのウクライナ侵攻への日本の制裁措置に対する報復措置だ。


この声明では、1991年(ソビエト連邦が崩壊したころ)から続く北方領土とのビザなし渡航の中止、北方領土を対象とする共同経済活動からも離脱するとしている。


日本の基本方針は、日ロ平和条約の締結は北方領土(国後島、択捉島、色丹島、歯舞島)の返還と同時並行して進めるというもの。


安倍晋三氏の首相時代、国後島、択捉島を含めた4島返還を、色丹島と歯舞島の2島返還に変更して条約締結を目ざしてきたが、振り出し以前に戻った格好だ。



(注:ロシア・エリツィン大統領の時代=1990年代に四島返還にこだわらない案を提案したとされる。択捉島とウルップ島の間を国境とするが、択捉島と国後島の施政権はロシアに認める案。ロシアは拒否したと言われている。)


ネット上では2019年5月、ウラジオストクでの国際会議後に安倍氏がプーチン大統領に向けて語った発言が皮肉を交じえて話題になっている。テーマは日ロ関係である。


「ウラジーミル、君と僕は同じ未来を見ている」「ゴールまで、ウラジーミル、2人の力で、駆けて、駆け、駆け抜けようではありませんか」と呼びかけた一件だ。


この直後にロシア高官が領土問題は決着ずみと発言したり、四島周辺で軍事演習をしたりと領土問題でいささかなりと応じる姿勢は皆無だった。


ロシアのウクライナ侵攻後は、ネット上で親しい仲ならウクライナ侵攻をやめるよう説得してください、と言われている。(テレビのインタビュー番組でも質問されたようだ。)


岸田文雄首相は22日の参院予算委員会で、日本の制裁に関し「全てウクライナ侵略に起因している。(中断は)極めて不当で断じて受け入れることはできない」と述べた。


紋切り型の答弁だが、米欧各国に加わって経済制裁に加わったときに、日ロ交渉の中断は想定内だったろう。


筆者思うに、ウクライナの「戦争」が終わり、ロシアの政権が変わらなければ北方領土問題の解決(国境の確定)と、日ロ平和条約の交渉再開はないだろう。


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付録です。


1993年10月12日、エリツィン・ロシア連邦大統領は東京で細川首相と会談し、北方領土4島の名前を挙げて「4島の帰属の問題を解決して平和条約を締結する」という東京宣言に署名した。このころが北方領土問題=日ロ平和条約に近づいた時期であったかもしれない。


付記しておくと、エリツイン大統領は日本から帰国後、憲法改正をめぐって対立勢力が多くいた最高会議(日本で言う国会)を戦車で取り囲み解散させ、多くの反対派を拘束するという暴挙に出た。抗議する一般市民には死者も出た。


この後、エリツィン氏は専制政治に転換し民心は次第に離れていき、1999年末を持って退任、後任大統領にはエリツィン氏が指名した当時首相のプーチン氏がつくことになる。

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