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安倍氏は「準」戦時国債を出すつもりだ 日銀「子会社」論は防衛費拡大への布石

(プーチン氏と親密な関係をみせていた首相当時の安倍晋三氏。いまはロシアと中国の脅威を言って軍備拡張を言っている。)


安倍晋三元首相の「日銀は政府の子会社」という発言は、最近、安倍首相がさかんに言っている「防衛費をGDP2%に引き上げる」という主張とリンクしていると考えて、間違いないだろう。


日銀黒田東彦総裁の「異次元の金融緩和政策」は、安倍氏が2012年末に首相に返り咲いた翌年5月、黒田氏を総裁にすえてから始まった。


黒田氏は「金融の質的、量的緩和で、消費者物価上昇率2%を2年以内に達成する」といって、長短国債を買い、金利を押しさげマネーを市場に流し込んだ。さらには株価に連動する投資信託を買い入れて、株価上昇を演出しようとした。


今年4月、物価上昇率は念願?の2%に達したが、要因は原油などエネルギー価格が上がったためと、携帯・スマホ通信料金の引き下げ効果が一巡したことによる。(料金引き下げは安倍氏の後任首相の菅義偉氏が主導した)


アベノミクスは目的のひとつだった産業の競争力向上については失敗に終わった。かつては日立と並ぶハイテク企業だった東芝がいまや解体寸前になっていることが代表的な例だ。


「日の丸」液晶復活に向け官民ファンドが支援したジャパンディスプレイ(JDI)は2012年の発足から一度も黒字を出さないまま事業を縮小し、最後はアップルの子会社になってしまった。


防衛産業首位、三菱重工の旅客機分野進出になるはずのMRJは何度かの納入延期のすえ、ついに凍結に終わった。(個人的にはたいへん残念なことと思っている。)


安倍氏は一転して、アベノミクスの対象を民間から軍需に切り替えたようにみえる。
しかし、日銀に「異次元の金融緩和」を続けさせ、赤字国債を出してまで「防衛費」にカネを投じてもその波及効果は薄く、民需で伸びてきた、大多数の企業の活性化にはつながらないだろう。(米国からの兵器購入を増やせば、潤うのは米国の防衛産業である。)


安倍氏の主張を後押しするのは自民党内にある「MMT(現代貨幣理論)」だ。ごく単純にいえば、「独自通貨を持つ国であれば、債務返済のための通貨発行に制約を受けないため、いくら借金をしても財政破綻は起きない」という理論(?)である。


安倍晋三元首相の子会社発言をもう一度紹介する。「1千兆円ある(政府の)借金の半分は、日銀が買っている。日銀は政府の子会社だ。返済満期が来たら借り換えてかまわない。心配する必要はない」というものだ。


国債の「利払い」のことを言わないのは意図的なのかどうか。ゼロ金利が続くことを前提としているなら、お気楽なことと言わざるをえない。
独自通貨を持っていても極端なインフレを起こし財政破綻にいたった国はいくつもある。
(たとえば


正当なMMT理論は「インフレになったらその時は利上げをするか増税すればよい」と言っているようだ。


実際、米国はコロナ対策で大きい財政支出をし、個別の給付金支給を行ったが、賃金があがりコスト・プッシュインフレが起きると、利上げに転じている。


ドルはインフレによって、1ドルの実質的な通貨価値は下がっている。そのドルに対して円は今年初めから10%超切り下がっている。すでに、異次元の金融緩和に対して黄信号が点滅しているとみるべきだろう。


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筆者は、前任総裁の白川方明氏が退任後、とある講演の中で「アップルやグーグル、アマゾンは低金利だから成功したのでしょうか?長年の低金利でもああいう成長企業が日本から生まれなかった点はよくよく考える必要がある」と遠回しに「異次元の金融緩和」を批判していたことを覚えている。

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