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バイデン大統領 台湾有事「軍事的関与」は意図的「失言」? 翌日は「戦略的あいまい」政策は変えずと表明

(ジョー・バイデン・米国大統領)


米国のジョー・バイデン大統領は23日、日米首脳会談後の記者会見で、中国が台湾に侵攻した場合、「米国は軍事的に関与する」と発言した。米国が従来とっていた、中台間で軍事衝突が起きた場合の姿勢を明確にしない、「戦略的あいまい」政策を変更したとして、新聞やテレビはこれを大きく報じた。


ところが、発言した後からホワイトハウスや米国防省高官が、「米国の政策に変化はない」と釈明し、24日には日米豪印によるクアッド首脳会談後の会見で、当のバイデン氏本人が台湾についての政策に変更はないと明言、再び、「あいまい政策」に戻ってしまったかのようだ。


米国の「戦略的あいまい政策」は、米国が主権国家として承認しているのは「中華人民共和国」で、「(台湾を含めた)ひとつの中国を支持する」との政策が大元にある。


これは日本も同様で、日本政府は中台問題の平和解決を求めるというのが基本的立場である。


1979年1月に米国は「ひとつの中国」を前提に中国との国交を正常化したが、歴代大統領は、「台湾有事」に際して、米国が軍事介入するかどうかは明確にせず、「あいまい」にしてきた。(というより、経済面を含めて良好な関係が続き、近年まで問題にならなかった面がある。)


23日の会見でも、バイデン大統領は、「問題発言」の前に、「われわれの台湾政策はまったく変わっていない。台湾海峡の平和と安定を支持し、一方的な現状変更は認めないことを引き続き約束する」と言っている。


続けて、「わたしたちは『ひとつの中国政策を支持している。しかし、中国が台湾を武力で奪う権限を持っていると言う意味ではない」と述べた。
(24日付け朝日新聞朝刊)


筆者は、バイデン氏の発言の意図は、中国をけん制するとともに、岸田首相が「米国の核兵器を含む『拡大抑止力』の向上」、敵基地反撃能力の保持、日本の防衛費の増大」を表明しやすく(日米同盟強化をアピール)するねらいがあったと考える。


今年に入って、自民タカ派筆頭格の安倍元首相は「台湾の有事は日米有事」、「日本と米国の核共有」、「防衛費のGDP比2%増(いまは1%程度だから倍増になる)」を主張していた。


核保有国ロシアのウクライナ侵攻、北朝鮮の止まらないミサイル発射、中国の台湾(日本)周辺でのキナ臭い活動が、自民党タカ派の安倍首相を勢いつけた面はある。とはいえ、ハト派とされる岸田首相がタカ派に転換した感も否めない。


産経新聞(電子版)によると、元自衛官出身の自民党・佐藤正久外交部会長は24日午前の党会合で、バイデン米大統領が台湾有事に「軍事的に関与する」意思があると述べたことについて「大変良い失言、最高の失言をされた」と述べた。


バイデン氏の失言が「タカ派」にとっては格好の追い風になったのは疑いない。とはいえ、政府債務(赤字)の残高が1,000兆円を超える現状からいって、防衛費を倍に増やすのは、財政破綻へのスピードに勢いをつけるようなものと思われる。


筆者は、財政再建重視派と思っていた岸田氏がウクライナ侵攻があったとはいえ、軍事費(防衛費)増強に踏み込んだことが意外だった。


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台湾を国家承認している国連加盟国は20カ国に満たない。それは厳しい現実として知っておく必要がある。

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