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佐渡金山 世界遺産「取り下げ」背景に水路の一部損壊

(問題となった導水路の石積み。BSN新潟放送のニュースより 佐渡島の金山「一部の箇所についての記載が欠落している」との指摘 | BSN NEWS|BSN新潟放送 (1ページ)


「佐渡金山」の世界文化遺産登録に向け、政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に提出した申請書に不備があったとして、いったん取り下げる事態になった。毎日新聞(28日付け電子版)によると、背景には「遺跡」である金山(砂金)の導水路が一部損壊して、無くなっていることがあった。


文化遺産登録にあたっては、遺跡の保存状況も審査の対象となり、保存状況が良くなかったり、後世に手を加えられたりしていると、世界遺産としての価値が認められないこともある。


政府は損壊について説明を加えた上で再申請をして、文化遺産登録を目指すが、壊れたものはどうしようもなく、先行きは見通せない。


今回の申請は佐渡の「相川鶴子(つるし)金銀山」と「西三川(にしみかわ)砂金山」の2つの江戸時代の鉱山遺跡が対象。17世紀には金の産出が世界最大級だったとされる。


毎日新聞(28日付け朝刊)によると、ユネスコが問題としたのは、西三川砂金山の遺跡で砂金を選り分けるために、水を流した導水路の遺構だ。


水路の石垣が大きく崩壊して、途切れた部分があるが、その説明が申請書にないことが問われた。毎日新聞によると、文化庁は「もともと水路はつながっおり、一体のものだ」と捉えて推薦書を作成した、という。


問題点については、末松信介文部科学相が書簡をユネスコに送り、さらには義本博司文科事務次官がユネスコ本部に出向いて説明し、審査入りを求めたが、ユネスコは納得しなかったという。


西三川の砂金山は江戸時代に盛期を迎えたが、明治に入って金鉱石が枯渇し採掘を終えた。導水路は使われなくなり、畑地などに変わったところもある。


日本の鉱山遺跡では、2007年に島根県の石見銀山が世界文化遺産に登録されている。石見銀山は戦国時代から採掘され、精錬した銀は中国や遠く欧州にも輸出された。佐渡の金山は江戸幕府の財政を支えてきたが、鎖国の時代でもあり、世界的な著名度は石見銀山に比べれば低い。佐渡が日本で鉱山として二つ目の文化遺産に選ばれるのは難しいという見方もあったようだ。


なぜ佐渡金山は、世界遺産になれないのですか?その理由と、世界遺産に... - Yahoo!知恵袋


佐渡金山の世界遺産申請については、韓国が第二次大戦中に朝鮮半島出身者が佐渡の金鉱山で「強制労働」させられたと主張し、申請に反対した。これに対して、安倍晋三元首相らが「韓国との論戦を避ける形で申請をしないというのは間違いだ」と批判、岸田政権も期限が迫る中、申請したいきさつがある。


自民党タカ派からは再提出について、「とんでもない失態。保守層からの支持に影響が出かねない」(佐藤正久外交部会長)という声もあるが、冷静に世界文化遺産としての価値を訴求する方策を考えた方がいいと思われる。


参考資料
ユネスコ、金山崩壊部分の説明欠落を指摘 佐渡金山の世界遺産登録で(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

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