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原発プルサーマルを止めるべき3つの理由 続ければ深みに入るだけ

(上は昨年9月のANN NEWS、フランスの港で積み込まれるMOX燃料の入った容器 MOX燃料が仏から日本へ出航 10週間かけ高浜原発へ(2021年9月9日) - YouTube )


今年も17日に日本に向け出港した。

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岸田文雄首相は原発政策について既存原発の稼働から新増設容認に大きく方針を変えようとしている。脱二酸化炭素に向けて化石エネルギーを使う火力発電を削減せざるをえないが、再生エネルギーの導入は遅れている。筆者は、社会経済インフラである電源確保のために既存原発の再稼働は限定的に認める立場だが、使用済み核燃料を再処理して使う、プルサーマル発電は計画的に止めるべきだと考える。


(「計画的」というのは、仏に核燃料の再処理をすでに委託しておりそれが日本に帰ってくるからだ。それは使わざるをえない。)


プルサーマル発電は、原発(軽水炉)で使った核燃料のいわばリサイクル利用だ。使用済み核燃料には「燃え残った」ウランやプルトニウム、ほかの高レベル放射性物質が含まれる。


これを再処理して、ウランとプルトニウムを抽出し、MOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料をつくり、再び原発で燃料として使う。


政府は当初、プルサーマル発電によって、核燃料の増殖効果があると言っていた。たとえば再処理で核燃料が1.1倍になるとして、7,8回繰り返せば2倍に増えることになる。


しかし、MOX燃料を多く使う高速増殖炉「もんじゅ」の度重なる事故とその後の廃炉決定(2018年)以降、プルサーマルのメリットとして、最終的に使用済み核燃料の容積が少なくなることや、強い放射能を持つプルトニウムを減らすことができることをあげるにとどまる。


実のところ、使用済みのMOX燃料を再処理して使うのは難しく、フランスでもリサイクルは1回にとどまり、貯蔵用プールに保管している。


筆者がプルサーマルを止めるべきと考える理由は、大きく分けて①プルサーマル発電を行ったあとの使用済み核燃料の処分技術が確立しておらず、最終処分問題を先送りしているに過ぎないこと。


②軽水炉の使用済み核燃料を再処理してMOX燃料に加工する、青森・六ヶ所村の 再処理工場の完成の見通しがいまだ立たない。


③六ヶ所村の工場建設費は、当初の7600億円から3兆1000億円に膨らんだ。当然ながらMOX燃料に跳ね返るわけで、プルサーマル発電の採算性に疑問がある。


仏から戻るMOX燃料の価格にしてもウラン核燃料に比べてかなり高いとも言われる。

MOX燃料、20年で倍額 関電、1体11億円で輸入:朝日新聞デジタル


六ヶ所村の再処理工場には全国の原発から約3000トンの使用済み核燃料が運び込まれ保管されている。これを全量再処理するというのが国の基本方針である。


コスト的にプルサーマルをやればやるほど、採算が悪くなるおそれなしとしない。使用済み燃料をMOX燃料に加工するのは最低限にとどめ、再処理しないで(とりあえず)長期間

安定して保管する「ワンスルー処理」を並行して検討する時期ではないか。


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