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インバウンド回復は中国が左右 ゼロコロナ政策続けば? 中台緊迫も懸念材料

上は観光庁が発表した2019年の各国旅行客の消費額。中国がダントツの36.8%占めている。中国、台湾、韓国、香港で64%を占めており、東アジアが戻ってこなければインバウンドの回復はない。


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新型コロナウイルスの水際対策が11日から大幅に緩和される。1日当たり5万人を上限とする入国者制限が撤廃され、観光目的の個人旅行やビザなし入国もできるようになる。(ワクチン接種証明か陰性証明は必要)


かつてインバウンド客を多く受け入れた観光地では、歴史的な円安ドル高も追い風となってインバウンド回復を期待する声が多いが、コロナ禍以前、もっとも多くの観光客を日本に送り出した中国はゼロ・コロナ政策を取っており、いまもきびしい渡航制限をしている。


インバウンド需要の本格回復は、中国にかかっているが、ゼロコロナ政策の転換は来年半ば以降になるとの見方が多い。加えて、中国・台湾関係の緊張と、日本の対応という問題も絡んでいる。ロシアのウクライナ侵攻により世界的な経済調整は避けられず、平和な時代を前提としたインバウンド需要は視界不良が続くだろう。


世界をコロナ禍が襲う前の2019年(暦年)の訪日外国観光客数は3188万人に達した。国内に落としたおカネの総額は4兆8100億円とGDP比1%近くに上った。ところが新型コロナが世界を襲い、21年の同客数は19年比99%減の24万5900人となり、インバウンド需要はほとんど消滅してしまった。


ここで改めて2019年の国別の訪日客数を振り返る。①中国959万人②韓国558万人③台湾488万人④香港229万人と、4国・地域で70%近くを占めている。


もっとも多くの訪日客を送り出した中国は、いまもゼロコロナ政策できびしい出入国規制をとっており、早期の回復は期待できない。


中国は今月16日から5年に一度の中国共産党大会が開催される。習近平主席の続投が確実視されている。ゼロコロナ政策は徐々に緩和されるとみられるが、解除は来年半ば以降になるとみられている。


日本として注意すべきことは、中国と台湾との関係がかつてないほどの緊張下にあることだ。安倍晋三元首相は生前、「台湾海峡有事は日本有事」と言い、それを中国側は「妄言」といって非難した。岸田文雄首相と習近平中国国家主席は、この9月、日中国交回復50周年の節目に祝電の交換をしたが、友好ムードはそれほど盛り上げっていない。


インバウンド2位の韓国からの訪日客については、1順調に予約が伸びていると報じられている。ただ、韓国についても、インバウンドに日韓の政治的緊張が影響することを指摘しておきたい。


2019年の韓国からの訪日客数は、2108年比で26%の大幅マイナスとなっている。同年7月に安倍政権が半導体の製造に必要な原材料三品目を輸出制限したことに韓国側が反発し、日本旅行を止める運動が広がったためである。(日本製品のボイコットもあった。)


半導体材料の輸出制限は、いわゆる徴用工問題で韓国の最高裁判所が日本企業の資産差し押さえを認めたのに対して、安倍政権が対抗措置としてとったものだ。


日韓とも政権は変わったが、徴用工問題の解決については、なお持ち越しており、糸口も見つけられない状況だ。インバウンドはある程度回復するだろうが、徴用工問題(慰安婦問題)がくすぶっていては、限界があると思われる。

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