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共産党系農業団体も認める?国産米の競争力 JAホームページに掲載 ただし、結論はMA米反対


Yahooニュース茨城新聞クロスアイより、茨城県産米、豪に本格輸出 米国産不作、円安が追い風 (茨城新聞クロスアイ) - Yahoo!ニュース
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JA(全農)ホームページ(11月18日付け記事)に、「ミニマム・アクセス米の落札価格 国産米の1.5倍」という見出しをみつけて驚いた。ミニマムアクセス(MA)はコメ市場の部分開放と引き替えに設けた関税ゼロの輸入枠である。この記事(以下JA記事とする)がホントなら、コメの減反政策をやめて、米国に輸出することだってできる。


円安ドル高でコメの内外価格差が縮まるのは理の当然だが、とうとう逆転したかと思いながら、読み進めると、とんでもないミスリード記事ということに気がついた。


JA記事は、「農業団体『農民連』よると、政府はミニマムアクセス(MA)米として、9月16日に入札のあった政府が米国から輸入した「うるち精米」の契約価格が、1トンあたり25万4000円となったと公表した。60キログラムでは1万3716円で国産米の価格水準を大幅に上回った」という内容。(以上要旨です。記事のリンクを下にはります。)


ミニマム・アクセス米の落札価格 国産米の1.5倍 輸入中止を 農民連が指摘|JAcom 農業協同組合新聞


以下、JA記事をそのまま引用すると、「21年産の全銘柄平均価格は1万1884円(税抜き)でアメリカ産は国産米の1.15倍になる。さらに暴落した千葉「ふさこがね」は9445円、青森「まっしぐら」は9969円でアメリカ産は約1.5倍となっている。」と続く。


安価なコメと比較して1.5倍という見出しをつけるのは、ミスリードというものだ。それは置くとして、JA記事は、「政府は国内産米より高いMA米を、おもに飼料用として安く売って大きな赤字を出している。いったいどこの国の政府なのか」と難じている。


ミスリードだけならいいが、問題はまだある。比較してはイケないものを比較していることだ。MA米価格は精米、国産米は玄米である。玄米を精米するコストに、そこまでの流通コストを加えたものが卸業者の倉庫にある精米価格となる。


JA記事は、米国産「精米」価格を玄米に換算して60キロあたりの国産「玄米」価格と比較している。契約価格、1トンあたり25万4000円を素直に60キログラムあたりの価格にするため割り算すると、1万5240円になる。


JA記事の玄米換算価格1万3716円はこれより1%ほど低い。玄米の精米コストと流通コストを合わせて1%と見込んでいるわけだ。ちょっと低すぎないだろうか?。JAホームページに載せる記事だから実際の精米コストを知っている人も当然いるはずだが・・・。


ふたつめのおかしな比較は、21年産米、つまり昨年の玄米価格と比べていることだ。JAのホームページによると、今年10月の玄米の取引価格は全銘柄平均で60キログラムあたり1万3898円とある。精米・流通コストがホントに1%ならば、銘柄平均でも米国産米とほぼ同程度で、安価なコメの場合は、米国にも輸出できるだろう。


(21年産の千葉産米などを『暴落』といっているのは、当時はコメ在庫がだぶついており、銘柄によっては下落傾向だったからだ。)


後出しになるが、「農民連」は共産党系の団体である。(農民連の支持政党は共産党というのが正確な言い方になる)JA記事は「生産調整もやめ、MA米は廃止しろ」と息巻いているが、これは共産党の主張そのままである。


共産党の主張通りだからといって、ケチをつけるのではない。JA記事が結論先にありきで、もっともらしくするため、基本的なデータをごまかしているのがおかしいと言っているだけである。


MA米はやめることは可能である。その時は、関税をかけて輸入を認めることになるが、関税をかけた米国産米に対して、国産米は価格競争力があるはずだ。ただし、精米コストが流通コストを含めて1%であればの話である。


記事を違う角度から読めば、日本のコメが価格競争力をつけていることを示している。共産党にとってそれは「不都合な真実」なのだろうか。


少子高齢化、人口減で日本のコメ需要は年間10万トン減っている。国内需要は弱く、11月の消費者物価でみても、コメ(分類上は米類)は前年比マイナス0.1%とほぼ横ばいでコメ需要は弱い。


円安と穀物(コメを含む)の国際価格の上昇を追い風にして、コメ輸出に活路を開こうとする農業者(農業法人)は全国各地で確実に増えている。


下にJA発行の農業新聞ネット版の記事とJETROのネット記事を紹介し、本稿の結びとしたい。




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共産党はMA米を飼料米として売って赤字が出ることを難詰しているが、飼料米を買う相手は畜産農家である。「赤字」は食糧管理特別会計で埋めている。赤字を埋めるのは、補助金を出しているのと同じことだ。

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