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日銀総裁に第三の候補者 12月の「政策修正」を予告 山口元副総裁

(YOU TUBE 言論NPOで講演する山口廣秀氏) 
私たちは、なぜ中国との議論に参加するのか/山口廣秀氏 日興リサーチセンター理事長(元日銀副総裁) - YouTube


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日本銀行の次期総裁候補として、元日銀副総裁の山口廣秀・日興リサーチセンター理事長が浮上している。


昨年12月20日の日銀政策決定会合で、長期金利(10年物国債利回り)の上限を0.25%から0.50%に引きあげた。


山口氏は、その前日の19日付けロイター通信(電子版)インタビュー記事の中で、インフレ予想の過度の高まりを防ぐため、「(日銀は)長期金利目標の引き上げなど、イールド・カーブ・コントロール(長短金利操作、YCC)の修正を検討する可能性がある」と、述べていた。ほぼその通りになったことは注目すべきだろう。


インタビュー:日本も高インフレ継続、来年はYCC修正も=山口・元日銀副総裁 | ロイター


日銀の同会合は正副総裁3人と、6人の審議委員の9人が議決権を持つ。イールド(金利)カーブのゆがみの修正については、9人の審議委員の全員一致で決まった。


日銀は長期金利が0.25%を超えないように無制限指し値オペ(国債買い入れ)を行ってきたが、12月に入って0.25%を上回り、残存期間8~9年の国債利回りも0.25%より高い状況が生じていた。


昨年11月には、日銀の10年物国債保有額が発行額を超えるという、長期国債市場の「枯渇」まで起きていた。(日銀が保有国債を貸し出すことで市場での取引は維持された。)


22年度の国債発行額は215兆円で、月間で20兆円近い借り換えが必要となる。財務省に、上限を0.25%に据え置き、金利カーブのゆがみを放置すれば、近い将来、国債の消化に支障をきたすとの危機感があったとしても不思議はない。


黒田総裁は財務省出身。日銀総裁には財務省OBと日銀内部エリートが交互に総裁に就くのが慣例となっており、次期総裁には、雨宮正佳副総裁、中曽宏前副総裁の名前があがっっている。山口氏は日銀プロパーで、黒田総裁の前任の白川方明総裁の時に副総裁を務めた。


山口氏はロイター通信のインタビューに対し、「価格転嫁の広がりや賃金上昇を反映した『ホームメイド・インフレーション』が生じつつあり、インフレ予想の上昇はいったん定着すると抑え込むのが難しく「高インフレが続いてしまう可能性は十分ある」と述べている。


さらに、山口氏は金融政策の修正について、YCCを維持したまま10年金利の扱いを調整することから始まり、その上でなお経済環境が許せば金融緩和から引き締めに転換し、マイナス金利、YCCの順に撤廃するという道筋をたどる可能性があると話している。


山口氏は「通貨価値の安定」つまりは、インフレ対策を本旨とする日銀のOBとして率直な見解を述べただけかもしれない。次期総裁として取るべき方向を示したといえば、深読みに過ぎるだろうか。


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本稿は下の久保田博幸氏の記事を参考にさせていただきました。


どうして、日銀はイールドカーブ・コントロールを修正したのか。決定会合の中断の理由とは?(久保田博幸) - 個人 - Yahoo!ニュース


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久保田氏の記事中に触れられているが、鈴木俊一財務相は1月23日の閣議後の記者会見で、12月20日の決定会合で中断時間中(午前10時51分から午前11時28分)に、会合に出席している秋野公造・財務副大臣から、政策修正内容の報告を受けたことを明らかにした。


上限金利の引き上げは国債の利払いが増えることを意味する。引き上げは政府(財務省)了承のうえ行われたか、あるいは政府(財務省)側の提案だった可能性がある。


黒田総裁は12月の政策決定会合後、上限引き上げについて、社債発行の円滑化のためといい、企業の資金調達やひいては景気にプラスと強弁していた。真意は不明だが、実際のねらいは、「黒田緩和」が損なった国債市場の正常化と、国債金利がおおもとにある地方債発行の円滑化が大きいと思われる。


社債でいえば、ソフトバンクグループが12月に約3%の金利で発行しているが、売れ行きは好調だった。


黒田日銀の政策ー4%のインフレ下で短期をマイナス0.1%とし、長期金利をゼロを基準とするーにムリがある。

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