時代遅れの新聞読みブログ

前期高齢者が新聞(紙、電子)・ネットのニュースをフォローします。

共産党の党首公選はムリ 「除名」の背景に自衛隊違憲論

日本記者クラブで講演する松竹伸幸氏著者と語る『シン・日本共産党宣言—ヒラ党員が党首公選を求め立候補する理由』松竹伸幸さん 2023.2.6 - YouTube


+++++++
現役共産党員の松竹伸幸氏(68)が著書で、共産党の党首を党員による公選で選ぶべきだと提案、共産党(中央)がこうした行動を「分派活動」として除名し、もっぱらネット上で話題になっている。


松竹氏本人は「共産党員にも言論の自由はある」と述べているが、党首公選は共産党の「民主集中制」原則(後述)に反することで、共産党中央で安保外交部長などをつとめた松竹氏がそれを知らないとは思えない。「除名」は覚悟のうえの提言だったと思われる。


無理と知りつつ、松竹氏が党首公選を訴えたのはなぜか。そんな疑問を持って、松竹氏が6日に日本記者クラブで行った講演(日本記者クラブ主催)がYOU TUBEで公開されていたので聞いてみた。


くわしくは、YOU TUBEの松竹氏の講演(およびウエブ論座への寄稿)を見るなり、読んだりしていただきたいが、端緒は10年以上も前の2005年に松竹氏が書いた論文にあるようだ。
共産党を変える!党員・松竹伸幸の挑戦|論座 - 朝日新聞社の言論サイト


ウエブ論座によると、その論文の中で、松竹氏は「日本が侵略された際は自衛隊を活用するという、自衛隊活用論と、憲法9条を将来にわたって堅持することを踏まえ、共産党は9条支持派と自衛隊擁護派をつないで護憲の多数派をつくる特別に重要な役割が果たせる」という主張を展開した。


(掲載誌は、共産党の発行する月刊誌『議会と自治体』。筆者は共産党の自衛隊活用論は最近=尖閣列島の帰属問題がクローズアップされた2010年代以降と思っていたが、松竹氏によると、共産党は2000年の22回党大会で、日本が侵略された際は、自衛隊を活用することを決めている。)


ところが、雑誌の刊行直後、委員長の志位和夫氏から論文が共産党の立場から逸脱しているとの批判があり、同誌の次号に自己批判文書を載せるよう求められたという。(ウエブ論座による)


松竹氏は反論したが、最終的には自己批判の論文を書くことになる。さらに、1年後に党本部の職を離れ、一党員となる。


それ以来、松竹氏は「毎月の党費を欠かさず納めるなど党員としての義務を果たしつつ、なるべく目立たぬように生きてきた。」そうだ。ここにきて、党首公選制を主張し始めたのはなぜか。


松竹氏はひとつの理由として、志位氏が最近の国政選挙(2021年衆院選挙、2022年参院選挙)に際して、自衛隊「合憲論」言いだし、有事の際の「自衛隊活用」を言っていることをあげている。「志位氏は(以前は反対していた)自分の考えに近くなった」とした上で、「共産党にとって大きな方針転換であり、党首選挙で全党員に問うことが必要で、それにわたしも立候補するということだ」と述べている。


繰り返しになるが志位氏(共産党)の方針転換と、党首の公選はさほど関係がないと筆者には思える。松竹氏としては、重大な――自分はそれで自己批判まで迫られた――方針転換が、共産党中央のなかでどういう議論があって、なされたのか明かにせよ、といいたいのかもしれない。


共産党は「民主集中制」のもと、党内エリート(上層幹部)が党員を指導して諸事万端(組織運営、党勢拡大、選挙活動そのたもろもろ)を遂行するきまりになっている。ともすれば、閉鎖的、上意下達的になるおそれがある。


松竹氏はそこを指摘し、議論のできる組織にしたかったのかもしれないが、おそらくは除名で一件、落着となるだろう。


共産党の見解をウエブページなどでみると、複数の党首候補が立って党員の選挙で党首(代表者)を決めることは、共産党規約で禁じる「分派」活動になる。「民主集中制」と党首公選は両立しえないからである。


+++++++
志位氏(共産党中央)と松竹氏の考え方は、自衛隊とは別に、日米安全保障条約について大きな違いがある。志位氏は昨夏の参院選挙前に、共産党の基本方針として日米安全保障条約の廃棄を明確にした。松竹氏は、安保条約は堅持したうえで、核抑止力抜きの「専守防衛」を主張している。共産党ホームパージではこの点も共産党の方針とは相容れないとしている。


志位氏の自衛隊についての考え方は「自衛隊合憲」といえるかどうかは微妙だ。昨夏の参院選挙前は「共産党の加わる民主政権ができても、国民の合意がないかぎりただちに自衛隊を廃止することはない」との言っている。緊急不正の日本への侵害がある場合は、自衛隊に出動してもらうことはあるという。

×

非ログインユーザーとして返信する