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米地銀株は一転上昇 空売り筋 買い戻す? 前途はなお不透明

YOU TUBE  Bloomberg Televisionより 
PacWest Weighs Strategic Options, Including a Sale - YouTube


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ブルームバーグ通信(電子版、5日)によると、米地方銀行に信用不安が広がる中で株価の急落に見舞われていた、地方銀行持ち株会社、パックウェスト・バンコープ(米カリフォルニア州)の株価は5日、一時前日比88%高となり、急反発を演じた。同じく地銀のウェスタン・アライアンス・バンコープ株も43%上昇した。


バックウエスト株は、ブルームバーグ通信が4日、同行が身売りや事業分割を含む選択肢を検討していると伝えたことを機に、株価が急落した。背景には、株価下げを誘うため株の空売りを仕掛けたヘッジファンドの存在がある。5日の急反発は、経営状況よりは、売り方による株の買い戻しが要因とみられ、パックウエストの前途はなお不透明だ。


ブルームバーグ通信は、地銀株をショート(売り持ち)した投資家はこれまでに約70億ドル(約9400億円)の利益を手にした、とのアナリストの見解を示している。


米国では今年3月8日、銀行持ち株会社、シルバーゲート・キャピタルが経営破綻(会社清算)し、その後、シリコンバレー銀行(SVB)、シグネチャー・バンクと経営破綻が相次いだ。


5月1日には経営不安から預金流出に見舞われていたファースト・リパブリックが経営破綻した。(JPモルガン・チェースに買収された)。


4行のうちSVBとファースト・リパブリックに共通しているのは、米連邦預金保険公社(FDIC)がカバーする保険上限25万ドル(約3400万円)を超す、大口預金が口座の多くを占めていたこと。


2行とも、受け入れた預金は安全性の高い米国債などで運用していたが、昨年来、FBR(米連邦準備制度理事会)の相次ぐ利上げによって、保有国債に含み損を抱える状況になっていた。バランスシートの悪化を懸念した大口預金者が、電子取引で預金の引き出し、(他の銀行への)移し替えをしたため、一種の「取り付け」が発生し、破綻に追い込まれた。


他の地方銀行でも、今年1~3月期に預金の流出があったことが明らかになり、ヘッジファンドがバックウエスト・バンコーポはじめ地方銀行株に空売りを仕掛けていた。


米連邦預金保険公社(FDIC)は銀行の破綻処理で預金保険基金(DIF)から多額の拠出を強いられた。このため、FDICは、企業の預金口座のカバー上限を引き上げることが、金融の安定にとって最善の選択肢になるとの報告書を出している。


ただ、そのためには保険料の引き上げなどが必要となる。変更には議会での承認が必要で、時間がかかる。共和党、民主党の対立案件になる要素もはらんでいる。


パックウェスト・バンコープなどへの空売りはひとまず収束するかもしれないが、地銀の経営難はおさまったとはいえない。

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