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フィリピン 親中政策を転換 米との防衛協力強化 台湾にらむ基地の米軍利用に中国反発


YOU TUBE 日テレNews より 中国が南沙諸島で造成中の人工島
【アメリカ・フィリピン】「合同軍事演習」…背景に中国の強引な海洋進出 - YouTube
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訪米中のフィリンピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領は5月1日に、バイデン米大統領とホワイトハウスで会談し、中国の南シナ海進出や、緊張する中国台湾関係を念頭に、二国間の防衛協力を強化することを確認した。


フィリピンの前大統領ロドリゴ・ドゥテルテ氏(在任=2016年6月30日 ~ 2022年6月30日)は親中国政策を一貫してとった。麻薬犯罪者撲滅作戦をめぐる米国との対立もあり、一時、米軍の基地使用を認めない方針(地位協定の破棄を通知)を出したがこともある。
マルコス大統領のもとフィリピンの対中政策が大きく転換する可能性がでてきた。


首脳会談に先だって、米国とフィリピンは2月、防衛協力強化協定(EDCA)に基づき、フィリピンで米軍が一時的に使える基地を5カ所から9カ所に増やすことで合意している。新たな拠点には台湾に近いフィリピン最北部の海軍基地が含まれており、台湾とフィリピン間のシーレーン、バシー海峡を意識したものとみられる。


フィリピンは、南シナ海に進出する中国との間で、島しょ(複数)部をめぐり領土、領海の紛争を抱えている。オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は2016年7月、フィリピンの主張を認める判決(裁定)を出したが、中国政府は「裁定は紙切れだ」と一顧だにせず、南シナ海で、港湾や空港施設のある人口島の造成をすすめている。


ドゥテルト前大統領は、中国との領土・領海問題を棚上げして、中国からの経済支援を引き出すことを明言していた。(ウィキペディアによると「フィリピンの財政は緊迫している。資金に欠けて経済が発展できていない。中国の投資、中国の技術、中国のカネが必要だ」との主旨の発言をしている。)
ロドリゴ・ドゥテルテ - Wikipedia


一方、現大統領のマルコス氏は、選挙キャンペーン期間中に「フィリピンの領土・領海は譲らない」と述べつつ、「(中国との)2国間協議で解決するしかない」ともいい、親中的な姿勢が続くとの見方があった。米中両国の出方をはかる、「あいまい作戦」だったかもしれない。
(中国は国際裁判所の「裁定」の手続き自体を認めておらず、フィリピンの言い分を認めた裁定は「無効」だと言っている。)


マルコス大統領は訪米中の5月3日、オースティン米国防長官と会談し、中国を念頭に、南シナ海でフィリピン軍、艦船、公船が攻撃を受けた場合、米比相互防衛条約の適用対象だと明記した新たな防衛指針を公表した。


米比相互防衛条約は1951年結ばれたいわば「古証文」だ。いまのマルコス大統領の父にあたる(パパ)マルコス大統領-ゴリゴリの反共親米派だった-が1986年2月に起きたピープル革命で失脚、民主政権が米軍撤退を求めたため、半ば空文化していた時期もある。それが、息子マルコス大統領の誕生によって、「再定義」された格好だ。


フィリピンの姿勢転換のきっかけになったのは、今年2月6日に起きた中国公船(海警)によるフィリピン巡視船へのレーザー照射事件との見方もある。フィリピン側の発表によるとレーザーは兵器級の強さで、南沙諸島のフィリピン側拠点に物資を運んでいる巡視船が意図的な照射を受けた。(中国側は中国の主権をまもるための正当な活動と主張)
フィリピン、中国船が巡視船に「軍用級」レーザー照射と非難 - BBCニュース


ただ、この事件に先立つ2月2日、米国のオースティン国防長官は、フィリピンでマルコス大統領と会談し、上述したように、米軍がフィリピン国内で使用できる基地を4か所増やすことで正式に合意している。


レーザー照射事件は、フィリピンが米軍の使える基地を追加したことーそれも南沙諸島方面というより、台湾に近い要衝といえる場所にある-に対するけん制、あるいは強い警告だった可能性がある。


フィリピンには、ドゥテルテ大統領時代に領土問題を棚上げしたのに、中国から得られた援助が期待ほどではなく、失望感があるという。


バイデン米大統領はフィリピンに航空機や巡視艇の供与を決めるとともに、ドゥテルテ時代には途絶えていた、経済支援を進めるため大統領使節団をフィリピンに送る予定にしている。


フィリピンは米国と中国の間でバランスをとって、うまく経済発展につなげたい思惑があるのだろう。問題は米中ともに軍事大国であり、偶発的な衝突が起きてそれが拡大した場合、フィリピンが巻き込まれて、経済的に大きな打撃をこうむるおそれがあることだ。それは、日本も同様であるのだが・・・。


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いまのマルコス大統領はボンボン・マルコスと呼ばれている。タガログ語でボンボンは少年boy、juniorにあたるそうだ。蛇足だが、大阪弁のぼんぼんは「坊ちゃん」からきている。

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