大型減税や輸入関税 トランプ氏の公約実現ならインフレ再燃も バイデン氏最大の失敗と批判したが
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トランプ前大統領は、バイデン大統領の最大の失敗は、22年6月に年率9.1%に達した米国の高インフレを招いたことだと強く批判してきた。足元では米国のインフレは鎮静化しているが、トランプ氏が大統領になって、公約の大型減税や、輸入品の関税引き上げを実施した場合、インフレが再燃する可能性もある。
米共和党は7月15日に綱領を採択した。大型減税の恒久化や輸入関税の引き上げなど、トランプ氏の主張を反映したものとなっている。
柱のひとつが、トランプ前政権時に導入した「トランプ減税」の恒久化だ。2025年末までの期間限定で所得税の最高税率を39・6%から37%に引き下げ、全納税者を対象とする控除を約2倍に増やした。
これとは別に、トランプ氏は富裕層や企業への減税も表明している。大規模減税は個人消費、企業の投資を刺激し、インフレにつながるおそれがある。
トランプ氏は長年の持論として、米国の貿易赤字は、「米国にとって損失であり、その分、雇用が失われている」と主張してきた。輸入品への関税引き上げは、貿易赤字を解消し、減税財源も得られる、一石二鳥の政策と考えているフシがある。
トランプ氏は、輸入品には一律10%の関税を課し、とくに中国からの輸入品には60%の関税を課すとの案を明らかにしている。
輸入品が多い、スポーツシューズや衣料品、雑貨の値上げにつながり、インフレ要因となる。
中国に対して60%の関税を課した場合、米中の摩擦は単なる貿易摩擦を越えたものになるだろう。
経済政策ではないが、トランプ氏は、不法移民の国外への強制送還を実施することを表明している。2021年~2024年の4年間で、不法移民は700万人以上に達する。不法移民は就労ビザを得て、比較的賃金の低い労働に就いている場合も多い。労働力の供給不足から賃金上昇、インフレを招くとの指摘も出ている。
インフレを抑制する可能性があるのは、(これも経済政策ではないが)脱CO2政策の停止に伴う、国内化石エネルギーの復活政策になる。石油や天然ガスの開発規制の撤廃を打ち出している。米国第一主義の象徴といえるが、国際的な影響は大きいだろう。
参考にしたブルームバーグ通信の記事です。
