バングラデシュ ノーベル賞受賞のユヌス氏が暫定政権首席に 治安回復と公正な総選挙が課題
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ロイター通信などによると、 学生を主体とした大規模な反政府デモによる騒乱が起き、ハシナ政権が崩壊したバングラデシュで、8日、ノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス氏率いる暫定政権が発足した。
バングラデシュ暫定政権発足、ユヌス氏が首席顧問に就任 | ロイター
バングラデシュでは7月以降、公務員の優遇採用制度をめぐり、反政府活動が激化し、警察や政府与党派との衝突で、300人以上が死亡したと伝えられている。15年間、政権の座にあったハシナ氏は首相を辞任して、ヘリコプターで隣国インドに逃亡した。
ユヌス氏は暫定政権の首席顧問として、国の安定回復と新たな議会選挙を実施をすることになる。
同通信によると、ユヌス氏は、国民に向けた演説で「残忍な独裁政権は終わった」と述べ、「政党に関係なく、民主主義、正義、人権、恐れのない表現の完全な自由が全ての人に与えられる。それがわれわれの目標だ」と訴えた。
ユヌス氏は、バングラデシュの貧困層向けに無担保小口融資で支援する「グラミン銀行」を創設した。2006年にユヌス氏とグラミン銀行はノーベル平和賞を受賞している。
しかし、今年1月にバングラデシュの裁判所は、ユヌス氏に対して労働法違反で禁錮六ヶ月の有罪判決を下した。
ハシナ前首相はかねて、ユヌス氏が貧困層を搾取していると非難していた。この判決も、国民的支持があるユヌス氏の信用失墜をねらった、政権の意向を受けたものと受け止められている。
ユヌス氏は有罪判決後にフランスに出国していたが、ハシナ氏の国外脱出後、急きょ帰国して首席顧問を受諾した。(筆者未確認だが、ユヌス氏は保釈されたようだ)
同通信によると、ユヌス氏はかつて、ハシナ前首相の与党アワミ連盟に対抗する政党の設立に動いたことがある。ハシナ政権・アワミ連盟から「政敵」とみなされていてもおかしくはない。
反政府運動の激化を招いた、公務員採用時の優遇制度は、1971年のバングラデシュ独立戦争時に功績のあった兵士(フリーダムファイターと呼ばれる)の子孫に30%の特別な採用枠を割り当てるもの。
国会は、アワミ連盟が圧倒的な多数を占めているため、政権関係者の子孫が優遇されることになる。
2018年に政府が制度の廃止決定をしたものの、今年6月、最高裁判所高等裁判部(日本の高裁にあたる)は、この決定を違憲とした。これをきっかけに、同制度の廃止を求める学生団体が、首都のダッカ市内や地方都市でデモや交通封鎖による抗議行動を続けていた。
バングラデシュは、大学生の失業率が高く、同制度の廃止や政府にはびこる汚職撲滅を求める学生団体は、反政府勢力を巻き込んで一定の支持を得ていた。
ハシナ政権は、最大野党のバングラデシュ民族主義党(BNP)の幹部を逮捕、拘束するなど弾圧をしてきた。このため国会は、アワミ連盟が議席の八割以上を占め、圧倒的多数派になっている。
政権崩壊後、バングラデシュでは、アワミ連盟関係者や少数派のヒンズー教徒らが襲撃されるなど混乱が続いていると伝えられる。
暫定政権は、治安の回復と、混乱なく総選挙を実施することが当面の責務となる。
