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H3ロケット4号機成功も米スペースXには周回遅れ 成功重ねコスト低減が課題

YOU TUBE JAXAのH3打ち上げ中継より
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防衛省の通信衛星「きらめき3号」を搭載した、日本の基幹ロケットH3・4号機の打ち上げは4日、種子島で行われ、衛星の静止軌道に成功した。


H3は打ち上げに失敗した1号機を除いて、3回連続の成功となったが、開発の遅れと初号機の失敗で、スペースXに代表される米国のロケット産業に比べると、残念ながら周回遅れ(それも2周?)となっている。


3回連続の成功と、民間衛星に応用できる静止衛星の投入は喜ばしいが、商用化には打ち上げ成功率95%以上が目安とされ、これからも打ち上げ失敗は許されない状況が続く。


H3ロケットは宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業が開発し、製造と打ち上げは三菱重工業が担っている。


仮に5号機に失敗すれば、成功率はたちまち60%に落ちてしまう。これでは民間の通信会社などのユーザーは怖くて、発注できない。おそらく保険も引き受け手がないだろう。


1号機の失敗を振り返れば、開発費280億円という文部科学省の大型衛星「だいち3号」がロケットの自爆により失われた。(マイナス思考と言うことなかれ、事実である)


H3は1回の打ち上げ費用を、先代の「H2A」の約100億円から半減させ、50億円程度にすることをねらっている。


現時点で、英衛星通信インマルサット社、仏衛星通信衛星ユーテルサット社、アラブ首長国連邦(UAE)の小惑星探査機の3件の打ち上げ契約を結んでいる。


米国に目を向けると、イーロンマスク氏の率いる米スペースXは、主力ロケットの「ファルコン9」だけで、10月25日までに今年100回の打ち上げを達成している。


スペースXは、1回の打ち上げで、重さ100キロから200キロの小型通信衛星を数百機、低軌道に投入する「衛星コンステレーション」で、世界をカバーするインターネット網STARLINKを構築している。(日本ではKDDIがスターリンクのサービスを提供している。)

日本では衛星コンステレーションは今のところ構想にとどまっている。


一方で、スペースXは、打ち上げに使ったロケットを軟着陸させて回収する試みをしている。ロケットが再利用できれば打ち上げコストが劇的に下がるといわれており、H3のような「使い捨て型」ロケットが前時代のものとなる可能性もある。


【スペースX】巨大ロケットの5回目の無人飛行試験 陸上で回収に初成功


欧州のアリアンスペースは今年7月に新型ロケット「アリアン6」の打ち上げに成功した。アリアン6は、最大で5トン衛星を2機搭載可能で、最大6.5トンのH3より大きな運搬能力を持つ。


2機の衛星をそれぞれ軌道に乗せることができれば、単純にいえば打ち上げコストは半分になる。


10月4日に来日したアリアンスペースのステファンイズラエルCEOによると、アリアン社はすでに30の打ち上げを獲得しており、そのうち21は民間衛星打ち上げだという。


JAXAのロケット打ち上げ事業は、政府発注の衛星を打ち上げることで支えられてきた。信頼性を高め、コスト競争力をつけないと、通信や放送衛星はスペースXやアリアンに上げてもらう方がいいということになるだろう。

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