日銀は12月政策会合で利上げに動くか 直前米FRBの動向も注目 10月インフレ率は2.3%
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日銀が12月18日、19日に開く金融政策決定会合で追加利上げに踏み切るとの観測が市場で台頭している。
日銀の植田和男総裁は最近の記者会見で、「(利上げのタイミングについては)、政策決定会合でその時点で利用可能なデータや情報などから経済・物価の現状評価や見通しをアップデートしながら判断していく」とどちらともとれる発言をしている。
日銀の同会合前には、米時間17日、18日(日本との時差はプラス14時間)に米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を決める米FOMC(連邦公開市場委員会)が開かれる。FRBの結果を受けて、日銀が動く(あるいは動かない)ことあるだろう。
仮に日銀が政策金利(短期金利)を上げる場合、その理由として、物価の抑制が第一に考えられる。足もと10月の全国消費者物価は前年同月比で2.3%のプラスで、日銀の目標2%を超えている。電気代ガス代の補助で数字が低く出ていることを考慮すれば、日銀が引き上げに踏み切ってもおかしくはない。
物価上昇は22年2月のウクライナ戦争勃発を機に、食料(小麦)エネルギー(石油、天然ガス)の国際価格が急騰して始まった。すでに3年近くになる。
最近の食料、エネルギー価格は落ち着いており、足元の物価上昇は①為替の円安→輸入物価の上昇→国内価格の上昇というルート、②この間、賃金を含めてコスト上昇が最終価格に転嫁されたことが大きい。
(ドル円の為替レートは1ドル=155円程度で推移し、22年2月対比で30%以上切り下がっている。)
日本の場合、賃金が物価の後追いになっているため、食料やガス、電気料という必需品価格の負担が重くのしかかってくる。
円安の要因は、ひとつには日米の金利差(政策金利で米国が4%近く高い)にあり、日本が金利を上げれば円安にブレーキがかかり、物価の基調も変わるだろう。
次に、「利上げ」しない理由(金利据え置き)は何だろう。
政策金利は世の中すべての金利のベースで、これを上げれば、金融機関の企業、個人への貸出金利に波及する。
借り入れする企業、個人には負担増となる。企業の投資に影響する可能性があり、個人でも変動金利型の住宅ローンは返済額が増える。(個人でも企業でも、預金金利が増えるというプラスもある。)
日銀政策委員会の大勢が、0.25%の利上げでも、景気へのマイナスの影響が大きいと考えれば、利上げを見送る可能性がある。(最後は多数決で決める。)
最初に書いたように、12月の日銀の同会合の前には、米時間17日、18日に米連邦準備制度理事会(FRB)が政策金利を決める米FOMC(連邦公開市場委員会)が開かれる。
ブルームバーグ通信によると、米国の市場関係者は「引き下げ」か「据え置き」か、五分五分とみているという。
12月の米利下げ「五分五分」、金利スワップ市場の織り込み具合が後退 - Bloomberg
米FRBが引き下げに動いた場合、日米金利差が縮まり円高に動く可能性がある。日銀が逆に引き上げに動けば、円高への振れ幅が大きくなるため、日銀が「据え置き」とすることもありそうだ。
