野球のルールを知らなかった?ナベツネ氏 巨人戦チケットを「拡材」に使えた良き日は去り 部数大幅減
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真偽のほどは不明だが、亡くなった読売新聞グループ代表取締役の渡辺恒雄氏が初めて?プロ野球を観戦したとき、「なぜボールを打った人は一塁に走らなきゃいけないんだ。3塁に行っちゃだめなのか」とそばの人に聞いたそうだ。
「ナベツネと正力松太郎」野球に与えた影響の差 プロ野球全体の繁栄をどう考えていたのか(東洋経済オンライン) - goo ニュース
ルールも知らなかった渡辺氏が、「読売巨人軍」のオーナーとなり、常勝球団、巨人を維持するべく奮闘してきたのは、ひとことでいえば、読売新聞の部数を増やすためである。
(部数を増やすことは、自身と読売新聞の発信力の強化につながると考えたのである)
読売新聞に限らず、新聞は新規購入者を増やすために「拡材」(部数拡張の材料)を使う。ビール券や商品券、あるいは無代紙(1年契約で3ヶ月無料というアレだ)などなどだが、読売新聞は拡材として巨人の観戦チケットいう強力な「武器」を持っていたのだ。
(前は拡材としてコメもあったが、コメが高騰したいまはないだろう。)
巨人全盛期は、対戦相手はどこであれ巨人戦のほぼ全試合がテレビで生中継されていた。(系列の日本テレビはとくに多かった)読売新聞=読売巨人軍には主催試合の放映権料が入り、セ・パ両リーグ合わせて12球団の中で、球団の中で巨人だけが黒字と言う時代が長く続いた。(赤字は親会社が広告費名目で補填するのである。)
読売新聞社が、巨人の観戦チケットを「拡材」としてばらまくのは負担にならなかったはずだ。巨人人気の高まり→チケットの拡材利用→部数の増大→カネにまかせた巨人軍の
戦力拡大→巨人人気の高まり、という好循環があったのだ。
読売新聞は、渡辺氏の社長在任時1994年5月に部数1,000万部を達成した。上に述べた「好循環」の結果とみることもできるだろう。
さて、読売新聞に限らないことだが、インターネットの台頭、活字から映像への移行、それに伴う紙新聞離れによって、各紙とも部数減少が止まらない。読売新聞の発行部数も1,000万部を大きく割り込み580万部にまで減っている。
いま、読売新聞が「拡材」として巨人軍のチケットをどの程度使っているかは、不明だがその効きめが低減しているのは間違いない。
おりしも巨人の菅野智之投手がFA(フリーエージェント)権を行使して巨人からボルチモア・オリオールズに移籍することがきまった。報道によると、1年の単年契約で約20億円といわれる。
今季15勝を挙げた菅野選手を金銭補償なしで手放すのは、読売新聞=読売巨人軍にとって手痛いが、それだけのおカネの余裕がなくなったと考えることもできる。
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図に示した読売新聞グループの売上高2,588億円には、子会社である読売巨人軍の収益が加味されている。注目するべきは、部数334万部の朝日新聞の連結売上高2,691億円に負けていることだ。子会社の読売巨人軍が昔ほどもうからなくなったのは確かである。
