時代遅れの新聞読みブログ

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コメ農家の時給 JAまで「97円」「10円」の朝日記事と同様 「所得」を「水増し」労働時間で割る大間違い

上のJA.COMの記事は、令和5年のコメ農家の平均的な「農業所得」9.7万円を、朝日新聞記事が「平均的な労働時間」とする1,000時間で割っ「時給97円」と算出している。朝日新聞記事が令和4年のコメ農家の「時給10円」とした間違いを上塗りしている。JA関係者は時間あたりの平均所得にそれほど意味がないことに気づいているはずだ。
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朝日新聞がコメ農家の「時給10円」という大間違いの記事を掲載したのに続き、農協グループ(JA)のウエブサイトで、令和5年のコメ農家の時給を「97円」と算定する大間違いの上塗り記事を載せている。

間違った原因は、朝日新聞の記事のときに指摘したことだが、農林水産省・営農類型別経営統計の平均的なコメ農家の所得9万7000円を、平均的な労働時間1000時間(朝日新聞も使っているがこれはホントは600時間である。)で割って、97円としたからだ。


「朝日新聞の大間違い」のブログでも書いたことだが、営農類型別統計の「所得」は、コメ生産者(農家)の場合、表3にある「農業粗収益」から、「労賃」を含めた「農業経営費」などを差し引いた額である。

コメ農家「時給10円」朝日新聞記事見出しの大間違い「所得」と「労働収入」を混同 無理解を露呈 - 時代遅れの新聞読みブログ


前のブログで使った、農林水産統計「令和5年産 米生産費」によると、コメ生産費(10アールあたり)の内訳として「労働費」3万4,400円が計上されている。


同じ統計によると、10アール当たりの労働時間は21.8時間で、時給にすると、1,577円となる。


本当の労働時間はもっと多いと言われれば、「ああ、そうですか」というしかないが、計算上は上に書いたとおりである。


注目するべきは、表3では、令和5年の「共済金・補助金等の受取金」が94.7万円あることだ。共済金は災害などによる損失を補填するもので、ほとんどが「補助金」である。これを差し引けば所得は赤字になってしまうのは冷厳な事実である。


さて、JAウエブの記事は、比較的大規模な平均作付面積9.5ヘクタールのコメ農家=「主業経営体でも最賃に及ばず」と書いている。


記事を下に引用する。


と、「(これら比較的大規模なコメ農家の)農業粗収入は1499.5万円に増え、1229.9万円かかった農業経営費を引いた農業所得は269.6万円だった。主業経営体の米農家の自営農業労働時間は3,024時間のため、「時給」は892円だ(269万6000÷3024)。全農家平均の97円と比べれば1ケタ高いが、雇用労働者に適用される最低賃金(2023年)と比べるとすべての県で下回る。」(以上引用終わり)


これも農業所得を労働時間で割っているのが間違いで、1,229万円の農業経営費の中に例えば家族に支払った給与や、収穫時期などの繁忙期に雇った人に払った賃金が含まれているのである。そもそも1人で3,024時間も働けるはずがない。(家族経営の場合は、基本的に労賃を支払うことはないが、青色申告する農家は税務署が認めれば家族給与を払うことができる。)
コメ農家の低い時給を強調しすぎると、コメ作りの後継者難を招くことになるのではないか。家族経営の場合は、基本的に労賃を支払うことはないが



































































































































主業経営体の米農家(平均作付面積約9.5ヘクタール)に限ると、農業粗収入は1499.5万円に増え、1229.9万円かかった農業経営費を引いた農業所得は269.6万円だった。主業経営体の米農家の自営農業労働時間は3024時間のため、「時給」は892円だ(269万6000÷3024)。全農家平均の97円と比べれば1ケタ高いが、雇用労働者に適用される最低賃金(2023年)と比べるとすべての県で下回る。暮していくのがぎりぎりで、これでは設備更新費用の捻出も難しい。

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