時代遅れの新聞読みブログ

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コメ農家「時給10円」 発端は共産党の国会質問だった 朝日もJAも「フェイク」に乗ったか?

上は、24年3月26日の「しんぶん赤旗電子版」より、見出しは稲作所得1時間10円
で時給10円でないことに注目。
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朝日新聞、JA新聞(電子版)が相次いで取り上げたコメ農家「時給10円」問題について、本ブログ筆者はその間違いを指摘してきたが、調べてみたところ、大元は今年3月25日の参院予算委員会で、共産党の紙智子参院議員が「稲作経営の1時間当たりの農業所得が1時間あたり10円で、低すぎる」と当時の岸田文雄首相を追及したのがコトの始まりのようだ。


これを伝えた「しんぶん赤旗」の記事で注目されるのは、紙委員は正しく(?)「1時間当たりの農業所得」と言っており、朝日新聞やJAのようにコメ農家の平均手取り賃金が「1時間あたり10円」であるとの表現はしていないことだ。


前のブログでも書いたが、コメの生産費を算出する際、自分と自分以外の家族(や雇った人)に、「みなし賃金」として時給約1,500円を支払うとして、労働時間をかけた総額を労働費としている。(時給約1,500円は、厚労省の賃金統計で従業員5人から29人の建設業、製造業、運輸業の平均時給からはじいた額だ)


令和4年のコメ農家の平均「所得」は1万円というのは統計上、正しい数字だが、実際には農業法人が雇った人に払った賃金や、家族従事者に払った給与(青色申告する農家の場合)を経費として差し引いたうえの1万円なのだ。


共産党の計算は、労働時間1,000時間として、1時間あたり所得で10円になるとしているが、この1,000時間というのが怪しい。


筆者の計算だと、所得1万円に対応する労働時間は約600時間である。(平均耕作面積280アールだ。)


朝日新聞が「時給10円」と書いたのは、紙議員の算法を何の疑問も持たずに「借用」したのだろう。


驚いたことに紙議員は、北海道の農家出身である。コメでなく酪農だが、コメ農家の1時間あたり「所得」が、1時間あたり賃金を意味しないことは知っているはずだ。しかるに、最近も赤旗電子版は時給「97円」という記事を書いている。紙氏が時給10円という「誤解」を広めようと意図しているなら、とんでもないデマゴーグというべきだろう。


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しんぶん赤旗によると岸田氏は「(所得1万円は)自家消費を主とする小規模経営体を含めた平均値だ」、「生産コストの低減を進め、所得の向上を後押しする」と答えている。

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