参院比例で落選 自民現職8人中5人は「右派」参政に票を食われる 意外に弱い高市氏の足元
参院選挙では自民党が歴史的な敗北を喫したが、比例代表で落選した自民現職8人中5人はいわゆる保守系の議員だった。
比例区は候補名か政党名のいずれかを書く。その合計の票数に比例して議席が割り当てられる。
産経新聞・電子版によると、安倍晋三政権下で行われた6年前の参院選と比べると、自民党の主な保守系候補7人の得票の合計は、47.5%減って、63万票を失ったという。
以下は、筆者による自民保守票がどこへ流れたのかの推測である。
この参院選で、自民「保守」より「右」の立場をとる、参政党は比例区の得票を前回の177万票から743万票を4倍以上に伸ばした。
その結果、参政党は比例区で7議席を得たが、1位当選者(現職)から5位当選者までの個人得票の合計は65万票となる。自民「保守」候補が失った63万票が参政党に流れたとみてもあながち間違いではないだろう。
参院選挙で負けたのが、自民保守派=旧安倍派であるとするなら、党内抗争=石破氏おろしをやっているどころではないように思える。
参政党(国民民主党)に風が吹いているのは確かだ。しかし、その風が強いときに、石破氏を辞任させても、新総裁のもとで国会運営が行きつまるのは必至だ。仮に総選挙に突入すれば自民党は負ける公算が高い。
ダメ元でもとりあえず日米関税交渉をまとめた、石破氏のもとで、多数派形成を図るほうが得策というものだ。
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今回参院選挙では、現職議員のほか、衆院から転身をはかった杉田水脈、長尾敬氏の保守派議員も落選している。
いったい、保守派の定義はあいまいなところがあるが、とりあえず①夫婦別姓に反対し、②皇位継承は男子にしかみとめない、③憲法改正(9条をやめて少なくとも自衛隊を明記する)④外国人の日本での投資、就労を規制する。⑤同性婚は認めない。
このほかに、赤字国債の発行をどんどんやる、という「積極財政」の選択枝があるが、「保守」か非「保守」とは別な話なので、定義には入れない。
ただ、参政党は減税財源として赤字国債の発行を言っており、高市氏もこれに近い考えを持っているようなので、両者が接近する要素はある。