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ウィドウメーカー オスプレイ飛行再開 自衛隊は米軍追従「薄氷の運用」でいいのか


YOU TUBE ABC 7 CHICAGOより 
US military lifts grounding order on V-22 Osprey 3 months after fatal Japan crash - YouTube
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昨年11月に在日米軍のオスプレイが鹿児島県屋久島沖で墜落したことを受けて、米軍はすべてのオスプレイ機の飛行を停止していたが、安全対策を講じた上で、飛行を再開すると発表した。


防衛省は陸上自衛隊のオスプレイについても、飛行を再開させる考えを明らかにしている。オスプレイは開発段階から事故が相次ぎ、米国でも「ウィドウメーカー=WIDOW(英語で寡婦、未亡人)つくり」と呼ばれてきた。


防衛省はオスプレイをまるごと輸入して、運用している。報道によると、米軍はオスプレイの設計と構造に問題はないと説明しているが、それは、操縦に何らかのミスがあったと言っているようなものだ。報道によると、搭乗員のマニュアルを更新したそうだが、今後も薄氷の運用が続くことを意味する。


以下は23年12月にブログに上げた記事をもとにして一部手を加えています。


オスプレイはふつうの飛行機(固定翼機)とヘリコプター(回転翼機)の両方の特性を持つが、それを実現するために、動力の伝達機構は複雑になり、操縦には独特の難しさがあるといわれる。


ウィドウ・メーカーと呼ばれる米軍用機はほかにもあるが、オスプレイは実際に配備されてからも多くの事故が起き、人的損失に加えて、機体の損失額(一機あたり価格は2015年で7200万ドル=いまの為替レートで約100億円となる。)も膨れ上がったため、米国内でも賛否の論議を起こしている。
Why they call the Osprey the 'widow maker' - Responsible Statecraft


トランプ氏も「わたしならヘリコプターか飛行機かのどちらかにする」と言ったそうだ。


陸自のオスプレイV22は、機体、エンジン、制御システム、レーダー等々まるごと輸入である。ソフトウエアを含めて、日本が手をつけられないブラックボックスが相当にあるはずだ。


ハードかソフトかを問わず、不具合があって、改修するにしても米軍の通知を待つしかない。そのときは、問題機器をそっくり換装することになる。


時事通信によると、米軍オスプレイ事故後の定例会見で、吉田圭秀統合幕僚長、森下泰臣陸上幕僚長は口をそろえて、オスプレイは安全だと(いう趣旨のことを)口をそろえて言っているが、さしたる根拠のない気休めにすぎない。


以下は筆者の考えた、オスプレイのムズカシイところである。


オスプレイは両翼に2つのエンジン、ローターを搭載している。離着陸時にはヘリコプターのように2つのローターを上向きにして、飛び立つ(または着陸する)ことができる。(滑走路がなくても離着陸できるのが運用上の利点となる。)


エンジンの動力はローターに伝えられるが、下記米国のウエブサイトによると、オスプレイは、その間に入るギアボックスのクラッチの滑り(スリップ)という長年の問題があった。ハード・クラッチ・エンゲージメント=HCEと呼ばれ、2022年6月カリフォルニアで起きた海兵隊のオスプレイMV22の墜落事故―乗員5人全員が死亡―は、HCEが原因だった。(報告書はパイロットが何をしても回避不能だったと結論している)
Known V-22 Gearbox Problem Caused Fatal June 2022 Crash | Aviation Week Network


ヘリコプターのようにローターを上向きにして飛んでいる時に、片側のクラッチが滑ったらローターに動力が伝わらず、当然のことながら揚力が(左右で)不均衡になる。


機体は急速に傾き、パイロットの懸命の操作にもかかわらず事故に至るーーということが実際、起きているのだ。


操縦の難しさについては、筆者が元某重工メーカーの航空機部門OBに聞いた話を紹介する。


オスプレイは、ヘリコプターのように上に飛び上がったあと、ローターを90度回転させて、ふつうの飛行機のように水平飛行に移る。(飛行機並みの早さが出せるので、航続距離がヘリコプターより長いことも利点だ。)着陸する時には逆にローターを上に向けることになる。


ローターを回転させると言ったが、オスプレイは、にエンジンやギヤボックスを収納するナセルごと回転させている。


ナセルの回転はパイロットが制御する。そのためのダイヤルは、パイロットが左手で操作する推力制御レバーについている。このとき、右手は機体の制御をする操縦桿を握って操作している。


某重工OBの話に戻ると、飛行状態(ローターの向き)を変えるときを遷移(英語でtransition)というが、遷移している時の操縦が、ことに難しいという。


筆者はナセルの回転制御は、コンピューターで自動化されていると思っていたが、ある程度はコンピューターで制御するが、(離着陸のときなどに)最後は人の技量に頼るところが残っているそうだ。


離陸のときは、揚力の発生が回転翼から固定翼に移るのだが、ローターが(斜め)下向きに強い気流を発生させ、それが主翼にあたって、機体が不安定になることはありそうだ。


日本に駐留する米軍のオスプレイは、今回事故を起こした空軍のCV22、海兵隊のMV22がある。時事通信によると、10万時間当たりの重大事故発生件数は、MV22が昨年9月末時点で2.27なのに対して、CV22の事故率は6.00(今年9月末)と3倍近い。
オスプレイ「危険」、定着懸念=米側は運用継続―空軍仕様、高い事故率 | 時事通信ニュース


米軍はこれは軍の思考方法だが、軍用機の開発に多少の犠牲はつきものと思っているフシがある。米軍機をまるごと輸入の自衛隊がどう考えているかはわからない。
参考サイト
V-22 オスプレイの知られざる歴史 – AVIATION ASSETS
V-22 (航空機) - Wikipedia

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