日銀「為替」注視も「大規模緩和」を継続 「円安総じてプラス」は消える
(日本銀行本店、円の形になっている。)
日本銀行は16、17日に開いた金融政策決定会合で現行の量的・質的金融緩和政策の継続を委員の賛成多数で決めた。
会合後の声明では、足もとの円安傾向を意識して、「金融・為替市場の動向やその経済・物価への影響を十分注視する必要がある」と言う一方、10年物国債金利0.25%を上限として国債買入をする「指し値オペ」を原則毎営業日実施するとしている。
米欧中央銀行がインフレ抑制のため利上げをする一方、日銀が金融緩和を維持することで、為替円安による輸入インフレが続く可能性がある。
日銀が現在の緩和姿勢を維持すると表明したことで、ドル円相場はドル高円安にふれ、一時1ドル=134円64銭をつけた。その後は、円を買い戻す動きが出て、ドルは132.42円まで下がり、振れ幅の大きい一日となった。
日本銀行は会合後の声明で、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば躊躇(ちゅうちょ)なく追加緩和を行うと表明した。
また、消費者物価(除く生鮮食品)については、当面はエネルギーや食料品の価格上昇の影響で前年比2%程度で推移するものの、「その後はエネルギー価格の押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していく」とした。
米FRBは6月に政策金利を0.75%引きあげたのに続いて、7月にも同幅程度の利上げを実施するとみられる。8月をはさんで、9月にも利上げをする見込み。
日銀の現状維持政策によって日米金利差はさらに拡大し、ドル高円安が進行し輸入インフレが続く懸念が強まっている。
黒田総裁はこれまで為替の円安は日本経済にとって総じてプラスと語っていたが、今回はその表現はなくなった。
日本の基幹産業である自動車は米国など消費地での海外現地生産が増え、円安による輸出増効果が出にくくなっている。
黒田氏はインフレ率が継続的に2%になるまで金融緩和を続けると主張してきた。このまま金融緩和を続ければ、賃金上昇無き「悪いインフレ」が続くと思われるが、黒田氏は意に介していないようだ。