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グーグル リストラ早期決着ねらう 14日以内同意で退職割増9ヶ月分 組合結成ネット意見は二分

(YOU TUBE ANN News グーグル日本法人で労組結成
「グーグル」日本法人で労働組合を結成 大規模人員削減の発表受け(2023年3月3日) - YouTube


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全世界で社員の6%にあたる1万2000人の解雇を表明したグーグルが、日本法人でも3月2日に一部の社員あてに「退職パッケージの提案」をメールで送ったことが大きな波紋を投げかけている。


2月に結成された従業員労組は「あらゆる手段で対抗する」と反発している(3日付け朝日新聞記事)が、グーグル日本法人は2週間以内に退職に応じれば割増しの退職金を払うことを提示し、早期の決着を図ろうとしているようだ。


先進国で雇用に関する労働者保護がもっともゆるいのは米国で、経営者がほとんどフリーハンドで従業員の解雇を決定できる。ツイッター社の経営権を握ったイーロンマスク氏が昨年11月、ツイッター社の世界で7500人いる従業員の半数をメール1本で解雇したことはよく知られている。


日本では企業経営がよほどの苦境に陥って、人を削減しないと会社がつぶれるというぐらいでなければ、解雇はできない。(NHK朝ドラ「舞いあがれ」では、主人公が働くネジ工場の経営が苦しくなって社員にやめてもらったが、あくまでもお願いベース=退職勧奨だった。)


グーグル日本法人は合同会社という形態を取っており、経営内容は明らかではない。(売り上げや社員数は不明)とはいえ、検索広告については米国(司法省に独占禁止法で訴えられている)と同様に独壇場であり、人員を減らすほどの苦境にあるとは考えられない。(グーグル米本社は22年決算で日本円にして8兆円の利益をあげている。)


東京新聞(3日電子版)は「ワンクリックで解雇なんて」という見出しをつけているが、さすがに日本ではそれはムリというものだ。ただ、「退職パッケージの提案」というメールが送られたのは、一部の社員で、「指名解雇」ならぬ「指名退職勧奨」という側面はある。


BUJINESS INSIDER JAPAN によると、「退職パッケージ」のおもな中身は下の通り。
【全文公開】日本のグーグル社員に通達された「退職パッケージ」連絡。2週間で退職合意、9カ月分の給与積み増し | Business Insider Japan


〇3ヶ月間の給与支払い:2023年3月2日から5月31日まで、通常の給与支払いサイクルに従い、給与が支払われる。


〇退職手当:2023年のモデル給与(基本給)をベースに、勤続年数1年ごとに1カ月分の基本給(ただし、勤続年数3年未満の従業員は3カ月分の基本給を受け取る)+3カ月分の追加基本給を受け取れる。


〇早期契約支払い:本日(3月2日)から14日以内、つまり日本時間3月16日午前7時までに本契約に署名した場合、追加の支払いを受けることができる。適用の場合、9カ月分の基本給が一括で支払われ、(退職)パッケージの一部として扱われる。


〇再就職支援:6カ月間の専門的な再就職支援サービスを利用することが可能。


〇日本での労働許可証や一時的な移民資格を持つ人に対して、家族を含めて入国管理に関するアドバイスやサポートを受けることができる。


などとなっている。


2週間以内に合意すれば9ヶ月の基本給を割り増しで支払うというところに、会社側が短期決戦を意図していることがうかがえる。退職手当を含めて15ヶ月となる計算だ。


社員のクチコミ・年収サイト「OPEN WORK」によると、グーグル合同会社の給与は営業職で1379万円、1871万円となっている。1月分の基本給が100万円程度の人も多いと思われる。100万円とすれば、退職手当と早期合意支払いを合わせれば1500万円程度になるだろう。
https://www.vorkers.com/company_answer.php?m_id=a0910000000G7Hz&q_no=2


(ただし、「OPEN WORK」の回答者は70人なので平均といっても統計的に意味はないことは断っておく。)


朝日新聞記事によると、退職勧奨に応じず、解雇に到った場合、①採用時にきめられたポスト(仕事)がなくなった②優遇措置のついた「退職パッケージ」に応じなかった場合、解雇が有効とされた判決があるという。(使用者側が十分に説明することが前提となる)


Googleは人を大事にすると聞いたのに 日本でも退職勧奨メール:朝日新聞デジタル


グーグル側は日本の労働法制や過去の判例を調べた上で、退職勧奨のメールを送ったと思われる。


グーグルの労組は、東京管理職ユニオンの支部という形だが、加入者は数十人という。(3日付け朝日新聞記事による)中には外国籍社員もいる。退職する場合の「入国管理についてのサポート」という条項は外国籍社員のためだろう。


ネット上の意見をみると、「外資系企業は実力本位の高い報酬のかわりに、会社都合で辞めさせられるリスクがある。承知で入ったのにいまさらJTCの終身雇用でもあるまい」という声がある一方、「会社都合で一方的に辞めさせられる米国がおかしい。労働組合をつくって雇用を守るのは労働者の権利だ。」という意見もある。
(JTC=JAPANESE TORADITIONAL COMPANYという意味である。)


労働組合も退職勧奨に自発的に応じる社員を止めることはできない。退職勧奨にあたっては、使用者側に「説明責任」があることはいうまでもない。おそらくは「あなたの仕事(プロジェクト)は本社からの指示でなくなった(縮小された)」で終わりだろう。(元外資系企業の社員の話による)


「自分が対象になった理由は?」と問えば、パフォーマンスがよくないと言われるかもしれない。(グーグルでは四半期ごとに目標を設定し、到達度が評価されるという)


JTC型の「退職勧奨」では、拒んだ人を特別な部屋=いわゆる追い出し部屋に入れて、単純作業をさせ、退職に追い込み、民事裁判になった事例もある。世界のグーグルがそういうことはしないだろう。


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グーグル合同会社の社員数は不明である。1000人という説もあるがよくわからない。合同会社は出資者=経営者で、実質的な出資者であるグーグル本社の一部門ということになる。このほかにグーグルクラウドジャパン合同会社があるが、こちらもリストラの対象になっているかどうかは不明だ。


ちなみに、グーグルの「退職パッケージ」には本文で書いた以外に下記の項目が含まれている。有給休暇の消化はともかく健康保険料の支払いはふつうの会社よりいいと思われる。
〇勤務地の休暇規定に従って、未消化の休暇を支払われる。
〇健康保険料として32万5000円(税別)を一括で支給する。


赤旗電子版によると共産党系の労組JMITUのグーグル系企業の支部が設立されたという。

日本グーグルに労組/JMITU支部 同意ない解雇やめよ

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