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紙くずのクレディ劣後債、購入者は賠償請求できる? 鈴木財務相も「残念認定」

YOU TUBE TBS NEWSDIGより無価値となったクレディ・スイスの「AT1債」 国内で1400億円程度 鈴木金融担当大臣が明らかにする|TBS NEWS DIG - YouTube


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鈴木俊一財務・金融担当相は21日午前の閣議後会見で、無価値=紙くず同然となったスイス大手銀行クレディスイス・グループの永久劣後債(AT1債)について、国内の個人富裕層や法人に「おおむね1400億円が販売されたことを金融庁として確認している」と語った。


クレディ・スイス・グループのすべての永久劣後債の発行残高は、170億ドル(約2兆2400億円)規模と言われている。その7%が日本国内で売られていたことになる。


アベマニュースによると、青山学院大学陸上競技部の原晋監督も少なからぬおカネをこの永久劣後債に投資していたといい、同ニュースの中で、「日本のサラリーマンの平均年収のウン倍が紙切れになった」と打ち明けている。
【AT1債】青学・原監督も被害…総額2兆円超が"無価値"に?森永康平が語る投資の注意点|アベヒル - YouTube


原氏は証券会社から購入したそうだが、「ハイリスクのものという説明はなかった」と言っている。そうならば、「無価値になるリスクの説明がなかった」として、売り手側の責任を問い、損害賠償を求める民事訴訟を起こすことをお薦めしたい。


投資額全部は戻ってこなくても、売った側にもリスクを十分に説明しなかった「過失」があったとして、裁判所が何割かの賠償を命じる可能性がある。


少し前だが、2016年に、三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)が三菱UFJモルガンスタンレー証券に紹介した顧客法人が、為替デリバティブを組み入れた投資で損失を出し、販売した三菱UFJモルガンスタンレー証券を相手取って、損失を出すケースがあることの説明が十分でなかったと、損害賠償請求を起こした。


複雑な仕組み商品で、劣後債とは一概に比較できないが、この訴訟では損害の4割が過失相殺で戻ってきた。
為替デリバティブ被害の被害4割と遅延損害金総額6900万円を回復した判決(東京地裁) | 麹町大通り総合法律事務所


さて、今回問題の永久劣後債は、MUFG傘下の三菱UFJモルスタ証券が、総額で約950億円分を、約1,550の顧客(口座)に販売していたことが判明している。いまごろは顧客への説明に追われているのではないか。


原氏は、「クレディ・スイスは倒産していないのにどうしてお金が戻ってこないのか」と言っている。劣後債は一般の社債より弁済順位は下位にあるが、株式よりは上位にあるのが一般的だ。


今回は、クレディスイス・グループは、スイスの大手銀行UBSに救済買収された。買収株価は買収提示前に比べてかなりの安値ではあったが、株は無価値=ゼロにはならなかった。原氏の疑問はもっとものように思える。


ところが、クレディスイスの劣後債は、金融当局から資本支援(公的資金=税金)の投入があった場合は、劣後債を無価値化するとの条項があったという。(現に、スイス金融監督局=FINMAはこの条項に基づいて劣後債価値をゼロにすると発表した。)


ブルームバーグ社のアナリストによると、公的支援が金融機関になされた場合、劣後債が100%無価値(元本および利子の不払い)になるのは、クレディスイスとUBSのスイス大手2社だけだという。(1社になってしまった。)


原氏はじめ、クレディスイスの劣後債を買った人は、購入時に、「クレディスイスが倒産しなくても、公的支援があれば劣後債は無価値になる」との説明を受けていただろうか。


鈴木財務相・金融担当相は、劣後債で損失をこうむった投資家がでたことを「残念なこと」と言って、売った側に顧客への説明を求めると言っているそうだ。一方で、「残念な劣後債」を売った証券会社(と仲介した銀行)は、コトによっては訴訟を覚悟しているかも知れない。


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