損失1兆5,000億円の農林中金 資金源は都市農家の土地売却代金 住専融資、リーマン危機の大損失に続き3度目の失敗

YOU TUBE TBS NEWS DIG「責任を痛感」農林中央金庫が2兆円超の含み損 1兆2000億円規模の資本増強を行う方針 米金利の上昇に伴い保有債券の価値下落|TBS NEWS DIG - YouTube
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外国債券の運用に失敗してこの3月期に1兆5,000億円という目のくらむような損失を計上する農林中央金庫は、2009年3月期にもリーマンショック後の債券商品の暴落で、5,700億円の損失を出している。
今回の損失で毀損(きそん)した自己資本を穴埋めするため、農林中金は傘下の農協組織(JAバンク=都道府県の信用農協組合連合会)に劣後債を購入してもらい1兆2000億円規模の資本増強を行う計画だ。(6月19日付け日経新聞)
これでもって再び海外の債券投資を行い、再起をはかるようだ。農林中金はその根拠法で、農協や漁協の金融の円滑を図ることによって「農林水産業の発展に寄与することを目的とする。」と定められている。現状はあまりにもかけ離れているといわざるをえない。
農林中金の運用資産残高は24年3月期で56兆3,000億円。末端の農協、都道府県信用農協組合連合会(JAバンク)などの余剰資金が、農林中金に預けられ、それを運用する構図になっている。
日本の農業・水産業は担い手の高齢化、過疎地の耕作放棄が進み、先細りの一途だが、なぜ農林中金を核とするJAバンクは巨額の運用資金を保有するのか。
それは秘密でもなんでもなく、戦後、全国各地で工業用地や宅地の開発、道路整備がすすんだ結果、その用地として農地(田畑)を売却した農家に資金が入り、そのおカネが最終的には農林中金に積み上がることになったのだ。
農林中金は預かった資金に通常の利息のほか「奨励金」を上乗せして信連や農協に払っている。それは農協組織の大きな収益源となっている。農地が減少の一途をたどる首都圏でも、周縁の区や、多摩地区に行けばJAバンクが健在なのはそういう理由である。
バブル期を知る人は筆者を含めてもはや高齢者になったが、1980年代後半のバブル時代に、農林中金と信連は、住宅金融専門会社(住専)に多額のカネを貸し込んで、後の地価下落で焦げ付いてしまった。
最終的に住専の破綻処理をする際に、大手銀行との間で、負債処理の分担割合をめぐって大もめにもめ、最終的には1996年に自民党政権がJA側の負担を軽減するため、6850億円の公的資金(いずれは税金に回ってくる)を使って最終処理をした。
これに懲りて、農林中金は融資事業を縮小し、内外の債券投資に大きく舵をきることになった。日本国債は超のつく低金利が続き運用益を期待できないため、金利の高いドル建てやユーロ建ての債券が増えていったと考えられる。
農協全体でみると、稼ぎ頭は信用事業=JA銀行で、その経営は農林中金の運用がうまくいくかどうかにかかっている。
農林中金の奥和登理事長は、役員報酬を減額するものの引責辞任は考えていないようだ。資金に余裕のある信連は一蓮托生で農林中金の劣後債を買うだろうが、根拠法をみてもわかる通り、時代にそぐわない組織はいずれ行き詰まるだろう。