長期金利上昇は日銀利上げを織り込む動きか?20日トランプ氏就任で市場波乱も
14日午前の国債市場で、長期金利の代表的な指標である10年もの国債利回りが上昇(価格は下落)して一時、1.245%をつけた。これは2011年4月以来、13年9ヶ月ぶりの高水準。
日銀は今月23日、24日に政策決定会合を開くが、同会合で政策金利である短期金利を0.25%幅引き上げて0.50%にするとの見方が市場で強まっている。
ロイター通信によると、 日銀の氷見野良三副総裁は同日、神奈川県の懇談会で「金融政策決定会合で、利上げを行うかどうか政策委員の間で議論し、判断したい」と述べた。市場は氷見野氏の発言にも反応した可能性がある。
短期金利の指標は、銀行間で資金をやり取りする翌日もの無担保コールレートで、日銀はこれを政策金利として現在、年率0.25%程度に誘導している。(コール市場は、銀行など金融機関が資金のやりとりをする。資金の過不足を日銀が調節して、金利を0.25%程度にする。)
長期金利は10年もの国債の利回り。短期金利を引き上げれば、2年以上の金利(国債利回り)との間で金利裁定が働き、その期間(償還までの残存期間)に応じて利回りが上昇する(価格は下がる)。
1年もの国債金利(短期金利)は、昨年11月20日ごろから、利上げを予測して、じりじりと上昇したが、12月2日の0.502%をピークにして一時0.40%程度に下げ、足元は0.51%程度で推移している。
前日の米国市場では米経済が強いとの見通しから米長期金利が上昇した。日本の長期金利の上昇もこれにつられたものと見ることもできる。20日にはトランプ氏の大統領就任式があり、関税強化などが打ち出されるのはほぼ確実とみられている。日銀の判断が注目される。
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日銀は前総裁の黒田東彦氏のもと、2016年から長期金利をゼロ程度に誘導するため、短期長期を問わず国債の大規模な買い入れを行った。これが、長短イールドカーブ(金利カーブ)・コントロールと呼ばれるものだが、植田和男総裁に代わったあと、2024年3月に日銀は、短期金利のマイナス政策とともに、イールドカーブ・コントロール(YCC)、マイナス金利政策を止めることを決めた。