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波紋広がる 小池都知事 住宅メーカーに太陽光発電パネル「義務付け」メーカーにインセンティブなし

(上の写真は東京電力エナジーパートナーのウェブサイトより、住宅用太陽光パネル)


東京都は、「大手住宅メーカー50社」を対象にして、戸建て住宅を含む新築建物への太陽光発電パネル設置を義務付ける条例を、今年度中に制定する方向だ。


筆者が小池知事の「設置義務化」を聞いたのは昨年末だが、てっきり、「建て主」に設置を義務付けるものと思って、独断専攻の小池知事とはいえ無理スジだと考えていた。
(政府も検討したが、住宅価格の上昇が需要減につながるという懸念から断念した)


自分の住宅に太陽光発電はいらないという人に、「脱炭素のための義務だから」と、住宅とセットで買わせれば、消費者の選択の自由を奪うもので、財産権の侵害になるだろう。


そこで、東京都(小池知事)は太陽光電池の設置義務を、「買い主(施主)」ではなく家を建てる、「大手住宅メーカー50社」に負わせることにした。そこが「工夫」といえば「工夫」だが、それでも無理がみえる。


東京新聞によると、「日照条件を考慮して新築販売住宅の85%程度は太陽光発電が可能と想定し、(東京都は)都内で年間に販売される新築住宅の5割強となる2万3000戸程度を対象とみている」という。


つまり、東京都は、2戸に1戸程度は太陽光発電つきにしたいようだ。付け加えると、EV電気自動車用の充電コンセントを設置する義務も負う。


東京都は「義務付け業者」には、導入実績に一定の基準をもうけ、基準未達の場合、業者の名前を公表する措置をとるという。


現在、東京都は「東京ゼロエミッション住宅導入促進事業」として、住宅用太陽光発電の場合、1kW当たり10万円(上限100万円)の助成を、基本的に設置する人にしている。太陽光発電装置のリース会社を入れることで「初期費用ゼロ」にする制度もある。


留意すべきは、設備を導入する個人に対する助成措置で、家を建てる業者に対してではない。(リース会社には助成金が入るが、リース料の軽減という形で設備を導入した人に還元される。)


住宅用太陽光発電設備は年を追って価格が下がっているが、同時に売電価格も引き下げられている。
住宅メーカーが太陽光発電を住宅とセットで売ることになれば、買った人から「採算保証」を求めらる可能性も出てくるだろう。


住宅メーカーに義務付けと引き換えのインセンティブはなく、負担が増えるだけにみえる。


足もとではエネルギーや原材料の高騰で、建設コストが上昇しており、新制度が逆風下でのスタートとなることは間違いない。


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小池百合子知事は2030年に温室効果ガスの排出量を「2000年比で半分」にするという国の目標(2013年比で46%)を上回る目標を掲げており、一戸建てへの「義務化」が不可欠と述べたという。


何かにつけ政府と張り合おうという姿勢のみえる小池氏、政府の先を行くというところをみせたかったのか。しかし、方向が見当違いにみえる。


東京電力エナジーパートナーのウェブサイト「太陽光発電の売電収入は」によると、容量5kWの太陽光発電を設置した場合、21年の売電価格19円として、年間で約8万円、10年間で80万円の売電収入があるとの試算を示している。


(ちなみに住宅の太陽光発電の容量は4kW~5kW程度。22年の売電価格は17円なので昨年に比べて採算性は落ちている。)


タレントの石原良純氏は(60)は22日、フジテレビ「ワイドナショー」に出演し、東京都の住宅への太陽光パネル設置義務化の動きに「あり得ないことを(小池氏が)真顔で言っているのは信じられない」と述べた。


石原氏が太陽光発電を導入したのは2010年で、この間、能力向上とコスト低減があったことを指摘しておく必要があるだろう。石原邸の採算はどうだったのだろう。
石原良純 東京都の太陽光パネル義務化の動きに「あり得ないことを真顔で言っているのは信じられない」(スポニチアネックス) - Yahoo!ニュース

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