ドイツに迫る「エネルギー」危機 ロシア ガス送出を停止 点検名目も再開に不透明感
(上はノルドストリーム1のガスパイプライン施設。ノルドストリームのホームページより)
ロイター通信(電子版)によると、ロシアからドイツに天然ガスを送るガス・パイプライン「ノルドストリーム1」は、11日から10日間、定期保守点検に入るため供給が完全に停止する。
ノルドストリーム1、点検で11日から供給停止 延長に欧州警戒 | ロイター
ロシアが、ドイツの経済制裁への対抗措置として、点検終了後も供給を再開しないのではないかとの懸念が出ている。
ノルドストリーム1は、バルト海の海底に敷設されたガスパイプライン。ロシアから年間550億立方メートルのガスをドイツへ送出している。ドイツの輸入する天然ガスの4割近くを占めているという。
ノルドストリーム1のガス送出用タービンは、独シーメンス・エナジー社がカナダで定期的な修繕をしている。ロシアはタービンの返却が遅れていることを理由として、先月、ノルドストリーム1経由のガス供給量を計画の4割に減らしていた。
カナダは近く、整備済みのタービンをドイツ側に返却すると発表した。(ウクライナはカナダに対して、タービンを返却しないよう要請していたという。)
夏期はガス需要が比較的少ないため、供給不足に陥る懸念はないが、備蓄が十分にできないため、冬季にはガス不足に陥るおそれもある。NHKニュースによると、ドイツ政府はすでに国民や企業にガスの節約を呼びかけているという。
バルト海経由の2本目のガスパイプライン、「ノルドストリーム2」はロシアのウクライナ侵攻に伴い、稼動を目前にして事業を停止している。
参考:第一生命経済研究所のリポート
(
ドイツはガス供給の非常警報を発令 ~冬場のガス不足で高まる景気後退リスク~ | 田中 理 | 第一生命経済研究所
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によると、
「ドイツでは現在、最大備蓄容量の58%のガスを備蓄しており、これを冬場に向けて90%に引き上げる計画だが、その達成が危ぶまれる。」という。