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アンモニア火力発電 JERAのTVCMは中止を CO2出ないは誤ったイメージ 環境NGOがJAROに申し立て

JERAホームページより。同じ映像がTVCMでも流れている。JERA ゼロエミッション 2050 | 会社概要 | JERA
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環境NGO「気候ネットワーク」は10月5日、国内最大の火力発電会社JERA(本社・東京中央区)の企業広告、一例をあげるとテレビCMで流れている「CO2が出ない火をつくる」が、根拠に基づかず、消費者に誤った印象を与える」として、日本広告審査機構(JARO)に広告を中止するよう申し立てた。
気候ネットワーク公式サイト | 市民のチカラで、 気候変動を止める。


JERAは東京電力傘下の火力発電会社と中部電力が出資する、国内最大の火力発電会社。同社は2050年にCO2排出の実質ゼロを達成するため、水素燃料やアンモニアを燃料とする発電を実現することを言っている。いまはその前段階として、石炭とアンモニアを混ぜて燃やしたり、LNGガスに水素を加えて燃やしたりして、CO2排出量を抑える実証実験に取り組んでいる。


気候ネットワークは、JAERAが力を入れているアンモニア発電(化石燃料との混焼)がCO2を出さないとのイメージを与えていることを問題視している。


①アンモニアと石炭との混焼では、混焼率によって大量のCO2が出る②アンモニアの製造や輸送時にCO2が出る可能性がある――などを列挙して、「CO2削減効果を過度に強調」していると指摘、JAROに対して、このCMの中止勧告を求めている。


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石炭火力発電所の燃料にアンモニアを混ぜて使うことは、岸田文雄政権が進める気候変動対策「GX(グリーン・トランスフォーメーション)」のひとつにあげられている。


ただし、アンモニアは燃焼時にはCO2を出さないが、現在、主流となっているアンモニア製造工程で、化石エネルギーを使うため大量のCO2を発生する。この点は、気候ネットワークの指摘は正しい。


アンモニアの製造にCO2フリーの水素(グリーン水素と呼ばれる)を使えば、製造時のCO2発生はないが、その製造方法は未だできていない。(実験室段階のようだ)


グリーン水素は、太陽光発電や風力発電でつくった電気で水を電気分解して作る方法がある。電気分解の効率は70%程度(30%はロスとなる)なので、再生エネルギーが全エネルギーの18%程度しかない日本では、そのまま電気として使った方が全体としてCO2抑制になる。


政府・経済産業省もその点を考慮して、「グリーン水素ならぬ「ブルー水素」を使ったアンモニアを輸入して、発電に使うことを計画している。ブルー水素は、石炭、メタンガスなどの化石エネルギーから水素をつくる際に、発生するCO2を地中に注入するなどして封じ込める。いわゆる、CCS(二酸化炭素の回収貯留)技術を使う。


ただ、CCSについては、コストをアンモニア価格に上乗せした場合、経済的にペイするかどうかが壁になるとの指摘がある。また、アンモニアは燃えにくく、燃焼効率は下がる。有害な窒素酸化物(NOX)の発生量も増えるため、この処理もコスト高要因になる。


経産省・資源エネルギー庁の試算によると、アンモニアだけで発電した場合のコストはキロワット時あたり23.5円(2018年時点試算)で、LNG火力の10.7円(同)に比べて2倍以上となっている。

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