時代遅れの新聞読みブログ

前期高齢者が新聞(紙、電子)・ネットのニュースをフォローします。

関電トップ カルテル問題 「沈黙」の無責任 公取協力で「課徴金」免除という「皮肉」

(上は関西電力ホームページ掲載、森望関西電力社長のあいさつ)
+++++


「お客さまや社会にとっての今日の「あたりまえ」を守り、未来の「あたりまえ」を創る存在であり続けたいとの想いを、経営理念に込めています。」とは、今年6月、関西電力の社長に就任した、森望氏のあいさつである。関電が主導する西日本・大手電力の価格カルテルが発覚したいま、何とも空々しく響く。


産経新聞(1日、電子版)によると、公正取引委員会の立ち入り調査で、関西電力と、九州電力、中国電力、中部電力の3社の間で、大規模工場などの「特別高圧電力」、中小規模工場や官公庁などの「高圧電力」について、「互いに相手の供給地区で安値による電気料金の提示を制限する合意」が結ばれていたという。


電力自由化ないがしろ、関西電力に批判不可避 法令順守意識も低く - 産経ニュース
報道によると、2018年10月~2020年10月の間が、摘発の対象になっているようだ。


公取委は1日、九州電力、中国電力、関西電力に対して、計1000億円超の課徴金納付を求める処分案を通知した。課徴金としては過去最高額。一方、カルテルを主導したとされる関西電力は違反を自主申告したことによって、「おとがめなし」という皮肉な結果となった。


カルテルが結ばれる前、関電は2017年3月、大阪高裁が高浜原子力発電所の3、4号機の運転差し止め仮処分決定を取り消したことを受け、17年中にこの2機を相次いで再稼働させている。関電の発電能力に余裕ができたことが、カルテルの誘因になった可能性がある。


高浜原発に関して、関電は2019年9月、福井県高浜町の元助役から幹部が多額の金品を受領していたことを公表し、公益企業としての体質が問われた。(この一件では、関連役員、幹部が減俸の処分を受けたが、あとで秘密裏に補填していたことも明らかになった。)


関電はこの問題を教訓にして、弁護士、有識者をいれた「コンプライアンス委員会」を設置して、企業風土の改善を進めていたはずだったが、その裏では、顧客に損を与える「企業犯罪」ともいうべき「カルテル」に動いていたことになる。
(コンプライアンス委員会は「カルテル」の存在を見つけられなかった。)


森社長はカルテルが結ばれた時期、発送電部門の執行役員(社長就任時には)取締役副社長だった。カルテルを知っていたら当然、やめさせるべき立場にあった。


関電は昨年4月に公取が調査に入ったことを公表している。その際に、「調査に協力する」と広報した後は、いまに到るも、沈黙したままである。


森氏は、「公取に自主申告し、おとがめなしになったから、社長に座り続けても問題なしと思っているのかもしれない」が、百歩譲っても「カルテルの経緯とその釈明をトップとして説明する責任」はある。


今回のカルテルは、大企業を顧客とする特別高圧(高圧)電力の高値維持をねらったもので、「被害者」は需要家である企業になる。


関電会長の榊原定征氏は、東レ出身で経団連会長を務めた経歴を持つ。金品授与問題を機に関電の体制立て直しのために、会長に就任したいきさつがある。カルテル問題に直面し、激しい国際競争にさらされるメーカーと違って、大手電力に「地域独占体質」が色濃く残ることを痛感したのではないか。


榊原会長にとって、カルテル問題について、企業としての責任をとらせることは、日本を代表する経済人として最後の、また最低限の仕事である。

×

非ログインユーザーとして返信する