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植田日銀の緩和維持が円安・物価上昇を招くジレンマ 金利操作変更の可能性は

YOU TUBE TBS NEWS DIGより 
“きっかけ”は日銀・植田総裁発言「あまり急いで引き締めをしてしまうと…」 円相場1ドル140円台、半年ぶり円安水準に|TBS NEWS DIG - YouTube
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日本銀行の植田和男総裁は26日、報道機関とのインタビューに応じて、「(食料やエネルギー価格の上昇で)国民には大きな負担になっていることは十分認識している。(しかし)急いで引き締めをしてしまうと、インフレ率が下がるだけでなく、雇用等に大きなマイナスの影響が及ぶことを懸念して、緩和を維持している」と語った。


米FRB(連邦準備制度理事会)はインフレ対応で、金融引き締めを続ける構えで、異次元の金融緩和を続ける日銀とは際立った違いをみせている。26日の外国為替市場は円安ドル高が進み、半年ぶりに1ドル=140円台の円安水準となった。為替円安が悪いインフレを招けば、植田日銀は難しい局面を迎えるだろう。


日本銀行は4月の経済・物価情勢の展望(展望リポート)で、生鮮食品とエネルギーを除く消費者物価指数(CPI)の見通しを23年度は2.5%上昇、24年度には1.7%上昇としている。日銀は石油、天然ガスなどのエネルギーや、小麦などの国際価格の上昇による影響が一巡し、2%の物価上昇が続くことには懐疑的だ。


ところが、4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く)は前年同月比3.4%上昇と、前月の3.1%上昇から上げ幅を拡大している。食料品などの値上げの動きは続いており、帝国データバンクの調査によると、4月には食料品・日用品の5100品目が値上げされ、5月以降も値上げの動きが続くと予測する。
「食品主要195社」価格改定動向調査—2023年4月| 株式会社 帝国データバンク[TDB]


6月からは大手電力7社の電気料金が20~30%程度引き上げられる。政府は電気代・ガス代の負担軽減策として、今年1月から9月まで電気・ガスの元売りに補助金を出し、消費者への影響を抑えているが、電気料金引き上げによって、ほとんど帳消しになるだろう。


もうひとつの物価上昇要因は、為替の円安だ。植田総裁は就任以来、黒田東彦前総裁の採用した異次元の金融緩和――短期金利をマイナス0.1%とし、長期金利(10年物国債の金利)を0%プラスマイナス0.5%とする――政策を続けることを、重ねて表明している。


日米の金利差から、昨年のように円安(ドル高)が進めば、今年の賃上げを帳消しにする3%以上の物価高を招く可能性がある。


植田総裁は、インタビューで政府・日銀の政策協定(アコード)である2%の物価安定目標について、「簡単に変えるべきものではない」と述べる一方で、長短金利操作(イールドカーブ・コントロール=YCC)については「効果と副作用のバランスに変化があればYCCの修正はあり得る」と語った。


黒田東彦前総裁時代の昨年12月、日銀は、長期金利の上限を0.25%から0.50%に引きあげた。YCCの歪みを修正するとのふれ込みだったが、為替相場は1ドル=137円台前半から133円前半に約4円ほど円高に大きく振れ、その後120円台後半まで円高が進んだ。


消費者物価が日銀の予想以上に上昇すれば、植田日銀が「イールドカーブの歪み」を修整するため、長期金利の上限をいまの0.5%から引きあげることもあるだろう。その場合、短期金利をマイナス0.1%に据え置けば、景気に配慮したという言い訳になる、というのは言いすぎか。


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