参院選に「米価下げ」はどう響いたか コメ生産上位10道県で自民議席減は青森だけ 茨城で参政議席獲得
筆者は今回の参院選で、石破政権のとった備蓄米放出による米価下落政策が、コメどころで、どう評価されるかとともに、将来の食料自給率100%という実現不可能な目標を掲げる参政党が、票を集めるかどうかに注目していた。
結論からいうと、コメの生産上位10道県で、自民党が議席を失ったのは青森選挙区だけだった。とはいえ、定数3の北海道と千葉県では参政に追い上げられての3位当選で、よく踏みとどまったと言えるかもしれない。
選挙期間中にはテレビ、新聞で、米価の抑制(下げ)政策に、コメ農家が批判的なコメントをする報道がみられた。だが、実際は25年産米については、産地農協(JA)が、24年産米に比べて大幅に高い価格を提示して、予約を進めている。
コメ農家の売り先はJAだけではなく、非JA系の集荷業者もあるから一概に言えないが、コメ農家の手取り増はほぼ確約されている。それが、石破ー小泉ラインがすすめた備蓄米放出に不満を言いながらも、結局は自民党に票を投じることにつながったのだろう。
自民が2議席を確保した北海道は、コメとともにコムギの産地でもある。酪農(生乳生産)は日本1であり、食肉生産でも鹿児島県を抜いてトップに立った。
ここで余計なことをいうと、北海道に限らないが、国産コムギの生産は、輸入コムギからあがる莫大な差益を補助金(生産奨励金)に回すことで成り立っている。
また、畜産、酪農は、飼料として輸入トウモロコシに大きく依存している。(飼料自給率は25%程度)
多くの道民はそうした実態を知っているはずだが、食糧自給率100%という無理な目標を掲げる参政党が、北海道でも票を集め、次点になったことに、筆者は心底、驚いている。
関東の米どころ、茨城県では参政党が議席を獲得した。立憲の現職が落選しており、入れ替わる格好だ。
茨城県は、正規の手続きを取らず、農家などで働く「不法就労外国人」の摘発が3年連続で全国最多だった。不法就労から単なる不法滞在に変わり、外国人によるとみられる金属盗難や自動車盗難などの犯罪が増えている。(茨城県警ホームページによる)
参政党は不法就労はもちろん、犯罪をおかした外国人に厳しい措置をとることを「公約」に掲げており、これが茨城県民から一定の支持を得た可能性がある。
一方で、少なからぬ農家が、安く使える労働者として不法就労者を受け入れているのも事実だ。東京という大消費地に近い茨城県の農業は有利な位置にあるが、産地間競争もきびしく、なかなか難しい局面にある。