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対ロ経済金融制裁 効果は不十分 ルーブル為替レート ロシア株式 侵攻前の水準に



G7(先進7カ国)による対ロシア経済制裁が発動され、急落したロシアの通貨ルーブルやロシア株式が急速に値を戻し、侵攻前の水準に戻している。


政府の介入がルーブルを支えていることは考慮するべきだが、ロシア産の「エネルギー」を除外した、欧州(日本)の経済制裁が思うように効果を発揮してないとの指摘も出ている。


ロイター通信によると、ロシアルーブルは7日のモスクワ市場で急伸し、午前の取引で、一時2月11日以来の高値となる74.26ルーブルまで上昇した。


株式市場ではルーブル建てのMOEXロシア指数が0.8%高。ドル建てのRTS指数は5.2%高で2月22日以来の高値を付けた。


ルーブルは侵攻前の1ドル=80ルーブル台から侵攻後の3月9日には1ドル=120ルーブルと大きく下落した。


その後、ロシア政府が国内企業に外貨収入の80%を強制的にルーブルに換える規制(外貨売り・ルーブル買い)を導入した。


またガスを輸入しているEU各国に、ガス代金をルーブルで支払うよう求めたことなどをきっかけに、反転上昇に転じ、4月7日には1ドル=74ルーブル台の侵攻前の水準に戻った。


ルーブルの堅調には、資本規制の効果があるのは確かだが、ロシアの財政を支えている石炭、石油、天然ガス輸出が、増加見通しにあることは見逃せない。


ブルームバーグ通信(電子版)によると、ロシアがエネルギー輸出で今年上げる収入は約3200億ドル(約40兆円)と予想されている。ウクライナ侵攻によりエネルギー価格が上昇したことで、前年から3割以上増える。


EUは5日、ロシア産石炭、年40億ユーロ(約5000億円)分の輸入を禁止すると表明した。手をつけなかったエネルギーの分野に踏み込んだが、50%をロシア産に頼る天然ガスについてはなお従来通りだ。(原油も同様)


プーチン大統領は、ロシアは4月以降、天然ガス代金をルーブルで支払うよう輸出先の欧州各国に求め、応じない場合は送ガスを停止するとている。


ただし、ロシアの銀行に特別な口座を開くことで、外貨による支払いの道を残している。これも輸入している各国が容認すればればルーブルの支援要因になる。


(ハンガリー政府はルーブル払いにすると発表した。ハンガリー大統領は親ロシア派だが、EUも一枚岩ではないようだ。)


欧米日の経済金融制裁のねらいは、①ロシア経済を機能不全にして、戦争継続を難しくする。②通貨下落でインフレがすすみ、国民に厭戦気分がまん延、ロシア政府が停戦へと方針転換する、にある。


エネルギーはいうまでもなく産業だけでなく生活を支える。エネルギー分野でのこれ以上の制裁(ガス、原油)になると、制裁する側にも相応の影響がある。


EU全体で天然ガスの50%をロシアから輸入している現状からいうと、天然ガスにすぐに手をつけることは困難と思われる。


ロシアの世論調査によると国民の80%がウクライナ戦争を支持し、プーチン大統領の支持率も高いという。


5月9日の戦勝記念日をもって停戦を予想する見方もあるが、長引くのではないかと筆者はみている。


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ドイツは、液化天然ガスの海外輸入を増やすことを表明しているが、新たにLNG船の建造、LNG陸揚げ施設、ガス化施設などなどを造ることを考えれば年単位の時間がかかると思われる。


テレビのコメンテーターがいうほど簡単なことではない。


日本は発電用の石炭の13%をロシアから輸入している。ロシアからの石炭輸入について萩生田光一経済産業相は8日の閣議後の記者会見で、「日本も段階的に減らしていく。最終的には輸入しないことを目指していく」と述べた。

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