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中国初の国産ジェット旅客機 就航 失敗の三菱SJとの違いは 大きな国内市場 外国部品・装置も採用に

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習近平国家主席自ら旗振り役 中国悲願の国産旅客機「C919」に乗ってみた|TBS NEWS DIG - YouTube


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中国初の国産中型ジェット旅客機「C919」の商用運航が28日、始まった。28日、乗客130人を乗せた中国東方航空の最初の便が午前10時半ごろ、上海虹橋国際空港を離陸、北京首都国際空港に着陸し、初フライトの成功を祝った。


ひるがえって、日本は今年2月に、国策として進めてきた三菱重工業の小型民間ジェット旅客機(スペースジェット=SJ、最大96席)の開発を断念している。米国にあるSJの試験機は解体されることになる。日中の明暗を分けたのは何だったか、その理由を考えてみた。


C919は座席数180-190席で、欧州エアバスA320や米ボーイングB737などと競合する。現時点では、中国の航空機認証しか取得しておらず、当面は中国国内での需要(新規と置き換え)を見込む。すでに航空機リース会社などから1,000機近い発注が来ているという。


価格は競合機より安く、海外には売り込めないが、広大かつ人口の多い中国市場だけでも、十分に採算がとれると見られている。欧州航空当局に認証を申請中で、欧州からの認証を得られれば価格を前面に押し出して、米国をのぞく世界市場に討ってでるかもしれない。


三菱SJの話をするのは「今さら」という感が否めないのだが、国内小型旅客機市場は小さい。国内路線用にANAホールディングスが確定発注15機とオプション(仮発注)10機の最大25機を発注していた。日本航空(JAL)は32機を確定発注していた。合わせて47機である。


国内だけではとても採算がとれないのだ。実際、三菱重工(三菱航空機)がメーンターゲットにしたのは、長距離の小型旅客機市場がある米国で、米国の航空会社や航空機リース会社などから最大で計400機近くの受注を得ていた。


SJの開発は2008年に始まったが、設計の見直しが相次ぎ、当初の納入時期2013年は何回も(5回?6回?)延期され、発注した米社からのキャンセルが相次いだ。国土交通省の認証を取って、日本での初飛行、米国で試験飛行をする段階まではいったが、結局は米国連邦航空局(FAA)の認証(型式証明)を得るに至らず、開発は2020年に実質的に幕を下ろした。


C919は中国国営の中国商用飛機(COMAC)が製造する。航空用電子装置(アビオニクス)、ジェットエンジンは外国製品を使っている。他の部品にも、外国製品・部品が多く使われているようだ。これをもって、C919はホントの国産とはいえないという声もあるが、かたや三菱SJの方はどうだろう。アビオニクスは米国製で、ジェットエンジンはプラット&ホイットニーの開発したエンジン「PW1200G」である。三菱重工航空エンジンが「国内」で製造しているが、「純国産」とはいえない。(国産化率30%という説もある。)


中国はC919用の国産ジェットエンジンを開発中と伝えられる。一方、三菱製のPW1200Gがどうなったのか(どうなるのか)、不明である。


今年の2月、泉澤清次・三菱重工業社長は、正式に三菱SJの中止を表明した際、「SJ開発で得た知見は次期戦闘機の開発に生かせる」との趣旨の発言をしている。


民間機には、安全性、快適性、経済性の3つの要件が求められるが、戦闘機となると、安全性は違った意味で必要だが、快適性や経済性は必ずしも求められない。(ときには高速性や運動性能などの犠牲となる)


泉澤氏は三菱SJがムダだったと言いたくないのはわかるが、民間機と戦闘機に求められる要件の違いがわからないようでは、失敗するのは当然と思える。


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米国のリージョナルジェットの市場自体、米国大手航空会社とパイロットの間の労使協定によってできた経緯がある。地方空港へ乗り入れできる航空機の重量を制限して、小型旅客機に限定したからだ。


三菱重工業はSJ撤退の理由として、認証を得るため追加の資金が必要となり採算がとれないおそれがあることのほかに、労使協定が改定されて、将来、小型旅客機市場が縮小する(大手の乗り入れによって)可能性があることを挙げている。
マーケティングをそもそも誤ったとの見方もできるだろう。


下は参考資料=2016年8月24日付け産経新聞・電子版
米納入MRJが重量オーバー 解約回避へ軽量化着手 - 産経ニュース

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