日銀利上げ 植田総裁は市場との対話に失敗した? 内田副総裁 追加利上げ 打ち消す
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日銀が7月末に追加利上げに踏み切った後、米経済の減速懸念が重なり、株価は続落し8月5日には日経平均株価が4,000円超下がり、過去最大幅の暴落を演じた。翌日6日には過去最大幅の上昇となり、証券市場の値動きは不安定となっている。
日本銀行の内田真一副総裁は7日、北海道函館市で講演し、「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と述べた。
植田和男総裁は、31日の政策決定会合後の記者会見で、(日銀の)見通しに沿って物価が推移すれば「引き続き政策金利を引き上げていく」と述べており、これが株価下落要因との指摘もあった。内田副総裁は植田総裁発言の修正をはかったものとみられる。この発言を受けて市場では円安、株高となった。
一部報道は、植田総裁の追加利上げ発言は円高、株安を招き、「市場との対話に失敗した」
と批判している。
今回の株安局面では、日本時間の夜間、未明にシカゴ市場で日経平均先物が売られ、東京市場で先物と現物が売られ大幅安になるという構図がみられた。(上がるときも同様、海外投資家次第だ)
日銀は短期金利を0.1%から0.25%に上げたが、その上げ幅は0.15%にしか過ぎない。米短期金利は5.25%~5.50%で金利差は縮まったとしても為替が円高に10%もふれるほどではない。(長期金利=10年もの国債金利についていえば、株が下がったためリスクオフで買われて金利は下がっている)
市場参加者は見込みが違った場合、往々にして、「中央銀行は市場との対話に失敗した」と責任を転嫁することがある。日銀はそこを見極めて対応しなければ、海外投機筋に甘くみられるだろう。
植田総裁は4月末の日銀政策決定会合で、為替の円安は「基調的な物価上昇率に、今のところ大きな影響を与えてはいない」と説明した。市場はこれを円安容認と受け止め、為替相場は一気に1ドル=160円の円安水準になった。
物価上昇に手を焼く岸田首相はこのあと、植田総裁に説明を求めた。植田総裁はこの苦い経験があって、今回は追加利上げを匂わせる発言となった可能性がある。
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内田真一副総裁は7日の講演では、「(日本の場合)欧米のように、一定のペースで利上げをしないと(物価上昇に歯止めがかからない)ビハインド・ザ・カーブに陥ってしまうような状況ではない。したがって、金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と述べた。
この点、追加利上げが必要になるほど、強い物価上昇を見込む植田総裁との認識に開きがある。近く予定されている、国会の閉会中審査で問われる可能性がある。