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輸入トウモロコシ1500万トンを自給できますか? 自民総裁選 コメばかりか穀物増産の大合唱

深浦サブロー


自民党の総裁選候補はほとんど皆、コメの増産を言い、中にはコムギやダイズなどの穀物も自給率をあげると言っている。食料自給率100%を掲げる参政党の向こうを張っているのだろうが、参政党並みの空理空論にはあきれるばかりだ。


国内でもっとも多く消費されている穀物はトウモロコシなのは、あまり知られていない。トウモロコシの輸入量=国内消費量は年間1500万トンにのぼり、コメ、コムギ、ダイズを合わせた消費量とほぼ同じである。


トウモロコシの7割は、ウシ、ブタ、ニワトリなどの家畜の飼料に回るので、ふだん気にとめることはないが、日本はトウモロコシ輸入大国でもあるのだ。(北海道名物のスイートコーンは野菜に分類される。穀物ではない。)


トウモロコシの大量輸入が何をもたらしているかというと、肉や鶏卵のカロリー自給率の低下である。たとえば、タマゴは重量比でいえば、96%が国内生産だが、飼料のトウモロコシは輸入に頼るので、なんとカロリー自給率は10%程度に落ちてしまう。(輸入は「液卵」である)


農水省は食料自給率の低さを言って、危機をあおったほうが補助金を取りやすいので、世界では少数といわれる「カロリー自給率」を採用しているのだ。(長く物価の優等生といわれてきた、養鶏農家の生産コスト削減の努力は見ないふりである。)


トウモロコシは面積あたりの収穫量がコメやコムギよりも多く、乾燥した気候でも育つので「奇跡の穀物」と言われる。


世界最大の産地、米国の場合で1ヘクタールあたり11トンを収穫している。(2022年)逆に、米国並みの収量を前提として、日本の消費分をつくるには、145万ヘクタールの農地が必要となる。


(まともに取り合うのがバカバカしいので、ここらで止めにするが、日本の飼料用トウモロコシの単位面積あたりの収量は500キロほどなので、さらに倍の面積が必要となる。)


参政党は公約として、38%の食料自給率を、10兆円の規模の予算をかけて、10年以内に自給率を倍増させると言っている。日本は2022年に飼料用のトウモロコシを1,120万トン輸入したが、その額は5,540億円にのぼる。


10兆円の予算増がどういう根拠かわからないが、飼料用トウモロコシの年間輸入額の20倍の予算をかけて飼料自給率をあげる意味はどこにあるのか。


おそらく、総裁選ではコメの増産はもちろん、コムギやダイズの増産をいう候補がでてくるだろう。コムギやダイズはコメの転作作物としてつくられてきたので、コムギやダイズの生産とコメの生産はトレードオフの関係にあることを知るべきである。

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