長期金利1%超え 日銀は「長短金利操作」に逆戻り? 試される植田総裁の市場対話力

YOU TUBE TBS NEWS DIG 【速報】長期金利1.035% 12年ぶり高水準をきょうも更新 日銀の金融政策正常化観測根強く|TBS NEWS DIG - YouTube
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長期金利が1%を超えて、28日には12年ぶりとなる1.035%をつけた。端的に言えば、鈴木俊一財務相のいう「金利のある世界」に戻る通過点」だが、急速に上がると住宅ローンを含めてさまざまな金利が上がり、景気を冷やすことになる。
マイナス金利からは脱したが、日銀は再び長期短期の金利カーブのコントロールに腐心するだろう。
長期金利は新発(直近に発行した)10年もの国債の「利回り」のことを指す。1%から1.035%への上昇は、これまでは期間10年の国債を額面100円、金利1%で発行できていたのが、次に出すときは額面100円、金利1.035%と少々、金利を上げなければ市場で売れないということである。(実際には金利1%で額面からディスカウントするだろう。後述)
今さらの説明だが、債券の利回りと債券価格は逆の相関関係にあり、利回りが上がることは債券価格が下がることを意味する。(逆もなりたつ)
ここで、日本銀行が、黒田東彦前総裁のころにやっていたように、長期国債をどんどん市場から買い入れて、価格を上げれば長期金利は1%を割り込むかもしれない。しかし、植田・日銀はこの3月に長期金利は「市場がきめること」として、それまでの「金利上限1%を目処とする」との政策を転換している。大きな変動がない限り買い入れ介入することはないだろう。(どのくらいが大きな変動かは・・・財務省・日銀が判断する)
現局面で、長期金利が上がったのは、6月13日、14日に開かれる日銀金融政策決定会合で、
①日銀が行っている、市場からの年間60兆円の国債買い入れ額を減額する。②現在0~0.1%としている短期金利(政策金利)を0.25%に引き上げる――との観測が市場に出ているためだ。
国債買い入れ減額は、市場に出回る国債の需給がゆるむことになる。国債価格は弱含み、金利は上がりやすい。
政策金利である短期金利引き上げは、日銀が決めれば即実行できる。中期(5年程度)、長期の国債利回りに波及して、利回り曲線(イールドカーブ)全体が上にシフトすることになる。
日銀は基本的には賃上げと物価の動向を見極めたいと言っており、市場には政策金利の「利上げ」は、賃上げ効果がはっきりする7月の金融政策決定会合以降になるとの見方が多い。
植田和男総裁は、前回4月26日の金融政策決定会合後の記者会見で為替の円安傾向について、「基調的な物価上昇率に今のところ、大きな影響を与えているわけでない」と述べた。
この発言が市場に「円安容認」と解釈され、4月下旬に一時、1ドル=160円台まで円安が進み、政府は2回の大規模介入を行ったといわれる。
植田総裁は、市場との対話能力は木でハナをくくったような黒田東彦前総裁よりは「高い」とみられていたが、上の発言でやや疑問符がついてしまった。
その後、植田総裁は講演などで、「過去と比べると、(円安が)物価に影響を及ぼしやすくなっている面は、意識しておく必要がある」と述べ、軌道修正をしているようにみえる。
国民の多くは金利のない世界に慣れきっており、日銀はなんのために「金利のある世界に戻るのか」を説明する必要がある。注目すべきは6月の金融政策決定会合である。
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債券の利回りと債券価格の関係についての説明。
債券は発行時に、期間と表面利率(クーポン)が決まっている。10年もの国債で、額面100円、金利1%なら、毎年1円の利子が入ってくる。元本100円が戻る(償還される)のは10年後になる。(ホントは半年ごとに50銭の利子だが簡単のため年1回とする)
さて、ある時から、金利2%で国債を発行するとそれより前の金利1%の国債はがぜん魅力がなくなってしまい、価格は下がることになる。どのくらい下がるかというと複雑な理論式があって、出せないことはないのだが、早い話が市場で決まる価格に下がることになる。
(残存期間9年で価格90円、クーポン1%の国債の「利回り」は2%ぐらいになってお買い得かも。償還までの期間が長いと、金利変動の影響はかくも大きい)
さて、今回は1%から1.035%へ上昇したわけだが、この場合はクーポン1%と変えないで、発行時の価格を96円50銭程度にディスカウントすればいい。ただし、これは単利計算で、ホントの理論価格は複利計算でややこしい。そのときの利回りは1.035%になっているはずだ。