備蓄米放出は農水省と農協の「出来レース」だった 参院選意識 石破首相は価格抑制指示

石破茂首相は7日、自民党の小野寺五典政調会長と官邸で会談し、高騰するコメ価格を抑制するため、党としての対策を指示した。
前年比で2倍に高騰した米価は物価上昇の先導役になっており、石破氏が、7月に行われる参議院選挙で自民党「全体」には不利に働くと考えても不思議はない。
ただ、自民党の岩盤支持基盤とされる、JA(農協)の機関紙である日本農業新聞は「今までコメが安すぎた」という、見方によっては高値維持と受け取れるキャンペーンを展開している。
「やっとこれからだ」 上がった米価、農家からみると【米農家の声】|JAcom 農業協同組合新聞
石破政権が、政府内で取り沙汰されるコメの関税引き下げを繰り出せば、自民党農水族の反発は必至で、挙党態勢が崩れるおそれさえある。石破氏の本気度が試されるだろう。
米価の高騰は、23年産米の不作と、翌24年の端境期の6月末のコメの民間在庫が23年に比べて大幅に少なかったのがひとつのきっかけだった。(南海トラフ地震臨時情報発表に伴う、買いだめ、インバウンド増加による需要増もいわれたが、24年産米の収穫増でコメは足りているはずだ。)
農家にあるコメの取り合い(集荷競争)が起こり、24年産米の農協グループ=JA全農(全国農業協同組合連合会)の集荷量は、前年より23万トン少ない221万トンだった。
今年1月には、江藤拓農水相が「コメ農家の庭先にこれまで見たことのない業者がきて、コメを(高値で)買いつけている」と話し、農協が買い負けしていることを認めている。
政府・農水省は3月に2回にわたって政府備蓄米21万トンの売却を行ったが、農協グループの不足分とほぼ同じなのは偶然の一致ではない。
政府備蓄米の保管場所は公表していないが、全農の各地にある冷蔵倉庫と思われる。(基本的に5年経ったら安い飼料用米に売るのでは、純民間企業はコスト的に引き合わない。)
農水省は4月になって、備蓄米売却量の94%を全農が落札したことを明らかにしたが、有り体にいえば、同じ倉庫にあるコメの保有者が政府から全農に変わっただけで、筆者は農水省と農協=全農の出来レースとみている。
全農のコメの売り先は、大手卸会社(全農系を含む)や、中食、外食産業などだが、学校給食や、公立病院など公的施設への販売も多い。(質的には平均的かちょっと落ちるが安価なコメを必要とする)
農水省は、1次、2次の落札分については、卸業者間の転売を認めておらず、備蓄米がスーパーやコメ店などへ流れなかった一因とみられる。
今回、落札分の1.6%しか店頭に出回っていないことが明らかになり、全農が批判されているが、全農は、大口の取引先と比較的長期の契約を結んでいることも多く、販売ルートの異なるスーパーなどが後回しになった可能性がある。
江藤農水相は、5月以降毎月10万トンの備蓄米を売却する方針を打ち出している。10万トンといっても日本の1日消費量が約2万トンであることを考えると5日分でしかない。加えてこれから放出するのは23年産米の2年古米となる。
(備蓄米と表示しなくてもいいことになっているが、質の落ちる2年古米でもいいのか。混米して高く売る業者は必ず出るだろう。)
備蓄米をほぼ使い切っても、米価が下がらなければ、残る手立ては、コメ関税引き下げによる輸入拡大しかないだろう。
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報道機関に備蓄米倉庫が公開されたが、場所は公表してはいけない取り決めになっているそうだ。筆者が調べたところ、埼玉県久喜市にある全農物流の久喜倉庫での取材を認められている。
農水省と全農は、全農の倉庫のコメの持ち主が代わるだけ(貸し借りという形を取っているが)ということを知られたくなかったのだろう。落札はコメを動かさなくてすむ、全農が有利に決まっている。
一部報道では企業の倉庫とあるが、全農物流という「全農」の子会社である。
今回、落札分の1.6%しか店頭に出回っていないことが明らかになり、全農が批判されているが、全農は大口の取引先と比較的長期の契約を結んでいることも多く、販売ルートの異なるスーパーなどが後回しになったのは止むをえないともいえる。)