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北海道電力 泊原発敗訴 「能力不足」を露呈 遠のく再稼働 「安全性立証できず」と指摘

(北海道電力泊原発 同社ホームページより)


北海道内外の約1,200人が、北海道電力に対して同電力・泊原発1~3号機(停止中)が地震、津波の際に安全性が保てないとして、「運転差し止め」などを求めた訴訟で、札幌地裁は31日、「津波の防潮堤が安全性を満たしていない」として運転を認めない判決を言い渡した。


泊原発は運転を停止してから、今年5月で10年になった。北海道電力は再稼働に向けて原子力規制委員会に、地震や津波、火山噴火についての影響評価や対策などの審査資料を出すよう求められているが、専門知識を持つ人材不足のため、作成できないためだ。


今回の訴訟は、東日本大震災後の2011年に起こされた。原告は、運転差し止め、使用済み核燃料の撤去、廃炉を求めていた。(運転差し止めだけが認められた)


北電は規制委が審査中であることを理由に、裁判で安全性を立証することを先延ばしにしていると批判されていたが、会社として能力を欠いていたのが実情だった。


この日の判決でも「北電が安全性に対して立証を終える見通しが立たない。審理を続けることを正当化するのは難しい」と指摘された。


北海道電力は判決を不服として控訴する意向を示している。北電はその前に、規制委から人材不足、能力不足の改善を求められ、裁判所からは「立証を終える見通しが立たない」と指摘されたことを反省するべきだろう。


今回の判決をみる限り、規制委の審査を通らない限り、運転停止中であろうと控訴審でも負ける可能性がある。


判決が運転差し止めの理由とした、「津波対策の防潮堤」に関して、北海道電力は、2014年に防潮堤を建設している。しかし、規制委から、地震による地盤の液状化で機能しない恐れがあると指摘されたため、この防潮堤を撤去し、下部の岩盤に直接設置するよう作り直すことにした。


この点について、判決は「北電が建設する予定の新たな防潮堤も、高さを平均海面から16.5㍍とすること以外は構造などが決まっていない」「泊原発には津波防護機能を保持できる防護施設は存在せず、設置基準の安全性を満たしていない」との判断を示している。


判決は、原告側が主張する津波以外の火山活動などの影響については「ほかの争点について判断するまでもない」として、言及していない。


なお、裁判官は原告約1200人のうち、泊原発から30キロ圏内に住む44人に対して請求を認めた。


原告側は使用済み核燃料の撤去や、廃炉も求めていたが、それぞれ「適切な撤去先がなければ、撤去先の周辺住民に人格権侵害が生じるおそれがある」、「原告らの人格権侵害のおそれを除去するために廃炉まで必要だとする具体的状況は見いだせない」として退けた。



北海道電力は今年4月、原子力規制委員会の更田豊志委員長から審査が遅れていることについて、「地震や津波、火山について専門的議論に応じられる人材が欠けていることが、決定的に審査に影響している。必要な人材拡充への投資を惜しまないでもらいたい」と異例の指摘を受けている。


参考:朝日新聞1日付け朝刊 札幌地裁判決要旨
泊原発訴訟、札幌地裁判決(要旨):朝日新聞デジタル
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北海道電力は原子力規制委に対して、1)震源を特定しない地震の影響2)日本海で想定される津波の影響3)火山の活動可能性や火山灰に関する影響などについて、資料を出すことを求められている。

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