参院選 維新、国民代表の原潜保有論の意味 国民 労組母体の防衛産業に配慮?
(主要各党の安保・防衛 経済(賃金、税制策)
22日公示される参院選挙は、コロナ後の経済立て直しやウクライナ戦争を受けた安保・防衛問題などが争点になると思われるが、安保・防衛に限ると共産党をのぞく主要政党が防衛力強化を主張している。
とくに目立つのは、日本維新の会の松井代表と国民民主党の玉木雄一郎代表が最近、申し合わせたように原子力潜水艦の導入を言っていることだ。背景には岸田首相に軍拡プレッシャーをかけようとする安倍元首相の存在があるとみられる。
自衛隊が原潜を保有すべきとの議論は、昨年秋の自民党総裁選でも論点のひとつになっていた。4人の立候補者のうち、岸田文雄首相、野田聖子こども生活担当相は慎重(否定的)な意見で、高市早苗政調会長と、河野太郎党広報本部長は保有するべきとの考えを示した。
国民民主党から原潜保有論が出る理由のひとつは、支持基盤の全国組織の労組「連合」に海自の護衛艦や潜水艦を造っている川崎重工業や三菱重工業があることだろう。日本の造船業界は民間部門のタンカーは韓国に競争力で負けてしまいシェアを失った。
三菱重工業の民間ジェット機(MRJ)は納入延期を重ね、ついに幕を閉じたようだ。
いやがうえにも、重機メーカーの防衛部門の比重は高まっているのだ。三菱重工業でいえば、その昔、1970年代に原子力動力船「むつ」の原子炉をつくった実績がある。
(扱いの難しさや、放射性廃棄物の問題もあり、結局は商用船で原子炉を動力に使うのはムリということでむつの計画は終わった。)
玉木氏の支持母体は労組だが、そのうえにある母体企業のことを考慮したのかも知れない。
日本維新の会についてはなぜ原潜の保有を言い出したか、思い当たる理由はない。時流に乗るのに敏な政党なので、自民党の原潜導入論者に勧誘されたのかもしれない。もとより筆者の想像である。