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東電・勝俣元会長らに13兆円賠償命じる 東京地裁「安全意識と責任感が欠如」


福島第一原発の事故で東京電力に多額の損害を与えたとして、東京電力の株主が、勝俣恒久元会長ら旧経営陣5人に対し対し22兆円を会社に賠償するよう求めた裁判で、東京地方裁判所は元会長ら4人に合わせて13兆3000億円余りの賠償を命じる判決を言い渡した。


原発事故をめぐり、旧経営陣の民事上の責任を認めた司法判断は初めてだ。


株主代表訴訟は会社法上の制度で、取締役らの違法行為や重大な経営判断ミスで会社が損害をこうむった場合、(会社が損害賠償を当該取締役に求めないとき)株主が会社に代わって賠償の訴訟を起こせる。(賠償金は株主ではなく会社に対して支払われる。)


今回の賠償額13兆円は個人が負担するにはあまりにも大きいが、裁判官が支払い能力を考慮することはない。敗訴した4人はこの判決を受け容れる場合は私財をなげうって支払い、(おそらく足りないので)、個人破産を選択する可能性がある。おそらくは、判決を不服として控訴すると思われる。


今回の訴訟の焦点は国が2002年に公表した地震予測「長期評価」で、東電子会社は2008年、長期評価に基づいて最大15・7メートルの津波を予測していた。


原告側株主は、5人が巨大津波の到来を予見できたのに防潮堤の建設や設備の浸水対策を怠り、取締役が負う「善良な管理者」としての注意義務に違反した(善管義務違反)と主張していた。


被告側は「長期評価の津波の予測には信頼性がない。土木学会の意見も取り入れた」などと主張していたが、判決は、「原子力事業者として求められる安全意識と責任感が根本的に欠如していたと言わざるをえない」ときびしく指摘した。


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経営トップの勝俣元会長と清水正孝元社長は、会社全体をみる立場で原発の専門的な知識はなく、「対策が必要になれば担当部署から報告・提案があると認識していた」と述べていた。
事故が起きるまでは「原発安全神話」を呪文のように唱え、事故が起きたら「専門知識がない」と言い逃れするようでは、経営トップの資格はないというべきだろう。


勝俣会長は、事故後は国会でも参考人として招致され、刑事事件としても強制起訴(一審無罪、控訴中)された。国会、法廷で事故について「謝罪」はしたが、経営トップとしての責任は一貫して「ない」と言い続けてきた。


2012年には国会の原発事故調査委員会で「(事業)執行の責任は社長。原発の事象は発電所長」というふつうの感覚では驚くような発言もあった。(筆者は堂々たる無責任発言に大いに驚いた。)
判決への対応が注目される。

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