時代遅れの新聞読みブログ

前期高齢者が新聞(紙、電子)・ネットのニュースをフォローします。

11月実質賃金はインフレで-3.8%に 黒田・日銀は通貨の「番人」失格

黒田東彦日本銀行総裁
+++++++++


厚生労働省が6日発表した2022年11月の毎月勤労統計(速報)によると、実質賃金は物価上昇の影響で、前年比3.8%低下と2014年5月以来8年6カ月ぶりの大幅なマイナスとなった。


エネルギー価格の高騰に為替の円安が加わり電気ガス代が上昇、食品価格値上げの動きが広がる中、4%近い足もとの物価上昇(インフレ)ペースに賃金の伸びが追いつかない。


11月の消費者物価上昇率は3.8%だった。(総務省発表、総合指数)その分が目減りしたことになる。(月間給与額=28万3895円は前年比0.5%のプラス。この分は社会保険料などのアップで相殺されたとみられる。)


インフレでおカネ(通貨)の価値が毀損しているのは明らかだ。一方、日本銀行は昨年12月20日、長期金利(10年物国債金利)の上限を0.25%から0.5%に上げたが、短期金利はマイナス0.1%としたままだ。


足もとで4%のインフレが起きているのに、「短期金利がマイナス」で、長期金利は0%±0.5%(つまりマイナス0.5%もありうる)という金融政策をとっている。これで、「物価の安定を目的とする、日本の中央銀行」(日銀ホームページより)といえるのだろうか。


超金融緩和(黒田氏本人が異次元の金融緩和と言っている)は、安倍晋三首相の主唱する「アベノミクス」のもと、黒田東彦氏が日銀総裁に就任した後、2013 年 4 月から長期国債やETF(株価連動型投資信託)の日銀保有額を倍増させることにより、「2%の物価上昇を 2 年程度で実現する」として始めた。


ところが、物価上昇率は目標の 2%に届かないまま、黒田・日銀はさらに長期・短期のマイナス金利を許容、ETFの買入増額へと踏み込んでいった。


黒田氏12月20日に行った長期金利の上下限を±0.5%に置いたことについて、金利カーブのゆがみを修整するのであって「利上げではない」と言い張っている。(繰り返しになるが金利カーブのゆがみは黒田・日銀がつくりだしたものだ。)


1月5日、政府(財務省)は10年物国債を発行するのに際して、額面100に対して、金利(クーポン)0.5%の現行上限で入札を行っている。


入札の前には国債を引き受ける銀行、証券、投資銀行にヒアリングするのがふつうだ。実質的に政府も超金融緩和の修正に乗り出したといえるだろう。


岸田文雄首相も承知のうえとみられるが、首相就任時にアベノミクスを継承し、超金融緩和を支持すると表明している手前、公式にはいえないのだろう。


そもそも、超金融緩和を見直すときは、政府と日銀が成果を検証をすることになっている。黒田氏の任期は今年4月8日まで。それまでに、総括し、抜本的に見直すことは、「政府と日銀の政策協定=アコーダンス」の当事者として、黒田総裁だけでなく、岸田首相にとっても最低限の責任である。

×

非ログインユーザーとして返信する