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22日東日本 電力ひっ迫のナゼ 寒波の影響を甘く見たか 警報遅れに批判 地震被害で310万KW分停止 緊急「揚水発電」でカバー



(上は23日の東京電力管内の電力需要の推移。23日は太陽光発電がピーク時が100万キロワットを超えている。22日の太陽光発電は午前中は10万キロ?ぐらいにとどまっていた。東京電力パワーグリッドのホームページから。)


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東日本・東京電力と東北電力管内で、22日に起きた電力需給の逼迫(ひっぱく)は、企業、家庭の節電や揚水発電の緊急的な利用で、大規模停電という最悪の事態は避けられた。


政府が「ひっ迫警報」を出したのは前日21日の午後9時過ぎで、遅れたことに批判が出ている。23日もひっ迫警報が続いたが午前11時に解除された。


新聞各紙によると、22日の電力不足の原因は①3月16日の福島県沖地震で宮城県、福島県の4基310万キロワットの火力発電所が設備故障で停止していること


②東日本は雨か曇りという天気で太陽光発電が見込めなかった。③3月22日に寒波による気温低下で暖房(空調設備)の電力需要が増えた(節電が追いつかなかった)ためだ。


午後2時のピーク時には「不足分」が約300万キロワットだった。地震による火力発電停止がなく、寒波も到来せずに太陽光発電がふつうに電気を作ってくれれば、何とか乗り切れたのかもしれない。


政府のひっ迫警報が遅れたとの批判が強く出ている。朝日新聞記事によると、東京電力が22日の需要予測を見直して経産省に報告したのが21日夕のこと。確かに後手に回った感は否めない。検証が必要だろう。


今回、不足分を補ったのはおもに揚水発電だ。標高差のある二つのダム湖の水を、夜間の余剰電力を使って揚水機(巨大なポンプ)で上のダムにくみ上げる。電力需要の増える朝から昼のピーク時にかけて下のダム湖に水を落として水力発電機で電気をつくる。


23日付け読売新聞によると、東京電力は21日夜のうちに水を上のダム湖にあげて、22日午前から揚水発電に使ったという。「22日午後9時の時点で、発電に利用可能な水は30%しか残っていなかった。」というから瀬戸際だったことわかる。


揚水ダムは多くの場合、原子力発電所とセットで計画されている。原子力発電はいったん稼動させると1年間は連続運転する。夜間に原発から揚水発電所に電気を送り、水を上げておいて需要の増える昼のピーク時にかけて発電する。


福島原発の事故前に、政府・経済産業省は「原子力発電所はベースロード電源」と位置づけていたのは上記のような理由がある。


脱CO2の観点から、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料を使う火力発電は削減を迫られている。ロシアのウクライナ侵攻によって石油、天然ガスの価格高騰、供給不安を招いており、フランスは原子力発電の増設を決めている。


今回の電力ひっ迫問題が日本での原発稼動の論議に影響を与えそうだ。


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東京電力の資料によると、22日には最大で80万KWh程度を揚水発電でまかなっている。東京電力は揚水発電は緊急的に使ったと説明している。


火力発電で作った電気で揚水するのは燃料費や効率などの点から、コストが見合わないからだろう。


22日の午前8時から午後3時までの節電の達成率は39%で、警報の遅れが影響しているとみられる。午後3以降はほぼ100%達成できた。「停電のおそれアリ」がテレビ、ネットで流れたのが効いたとみられる。

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