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やはり景気の不安材料は 岸田首相と黒田総裁?株式大幅下落が意味するもの


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大発会 一時400円超安(2023年1月4日) - YouTube


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今年最初の株取引(大発会)となる4日午前の東京株式市場は、米国の景気後退懸念や日銀の緩和修正への思惑から、幅広い業種で値を崩す展開となり、日経平均株価は前営業日(昨年末)比377円安の2万5716円と大幅に下げて終わった。


3日の米株式市場でテスラやアップルなど米国を代表するハイテク株が下がったことや、日銀の金融緩和修正でドル安円高傾向が進むとの見方から主力輸出株も値下がりした。


ブルームバーグ通信によると、岸田文雄首相は4日、年頭記者会見で、「この30年間、企業収益が伸びても期待されたほどに賃金は伸びず、想定されたトリクルダウンは起きなかった」と語り、企業収益が上がれば株価が上がり、そのおこぼれ(トリクルダウン)で国民一般の所得が上がっていく、安倍晋三元首相が唱えたアベノミクスの考え方を否定した。


一方で、岸田首相は、「賃金が毎年伸びる構造を作る」とも語った。同通信によると、「最低賃金の引き上げ、公的セクターや政府調達に参加する企業の労働者の賃金についてインフレ率を超える伸びの確保を目指す」とも述べた、という。
岸田首相、インフレ率超える賃上げを-「異次元」の少子化対策も - Bloomberg


「最低賃金の引き上げ」は、賃金水準が低い非正規労働者にとってはプラスだが、中間層の底上げにはつながらない。公的セクターが公務員を指すなら、税金のバラマキであって、発展途上国の人気取り政策でよく使われる手法だ。


「政府調達に参加する企業」というのは、防衛(軍事)予算増額と結びつけると、防衛関連産業の賃金を上げることと思われる。これも一部の防衛産業という狭い部門にしか恩恵はない。


一方、ロイター通信によると、黒田東彦日銀総裁は4日、全国銀行協会の賀詞交換会で、賃金上昇を伴う物価目標を安定的に実現するまで、金融緩和を継続すると従来の考えを強調した。


黒田総裁は「円安は日本経済に総じてプラス」と言い続けてきたが、エネルギー・食糧価格の高騰と円安で、記録的な貿易赤字が続いている。円安のプラス効果が出ないまま、円高に転じている。


岸田首相、黒田総裁の二人の話を整合性がとれるように解釈すると、先に待っているのは、インフレと賃金の追いかけっことなる。世界経済の悪化にあわせて、日本の景気が悪くなれば、インフレと景気低迷が同居するスタグフレーションである。


昨年12月31日付のブログで、黒田総裁と岸田首相が、2023年の金融・証券市場(つまり日本経済)の不安材料になるかもしれないと結んだ。4日の株式市場の大幅下落がそれを示したものでないことを願いたい。

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