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証券市場も歪めた黒田日銀 「自覚なし」が市場の不安材料だ 二つの株価指数を比較

YOU TUBE 日テレNEWSより
【日経平均】大納会の日経平均、年初から3000円以上値を下げる 岸田首相「来年は新しい資本主義を本格起動させる」 - YouTube
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東京証券取引所は30日、今年最後の取引が行われ、日経平均株価は前日に比べて、83円高い、2万6094円で取引を終えた。昨年末の終値からは9.36%(2,697円)の下落となった。
一方、東証旧一部の時価総額をしめす、TOPIXは5.05%のマイナスだった。


TOPIXの方が下がり幅が日経平均より4%ほどマシだった(証券業界では負け方がマシだった場合もオーバーパフォームという)のは、日銀がTOPIXに連動する株式ETF(上場投信)を買い上げて、押し上げた効果だとみられる。


黒田・日銀の超金融緩和は金融市場(国債市場)とともに、証券市場もゆがめているのだ。困ったことには、黒田総裁本人に「市場を歪めている」という自覚がない。


20日に日銀は長期金利(10年物国債利回り)の上限を0.25%から0.50%に引きあげたが、黒田総裁はいまでも「利上げではない。超金融緩和は続ける」と言っている。


政府内にも、「日銀はもっと丁寧な説明をする必要がある」と求める声があるようだが、黒田総裁本人にその気が無いのでは如何ともしがたい。黒田総裁の任期は来年4月までだが、それまでは、日銀の金融政策の行方は五里霧中である。


来年の金融・証券市場、大きくいえば日本経済の不安材料は、黒田総裁その人という所以である。


30日は年末恒例の大納会が行われた。岸田文雄首相が鐘を鳴らして今年の取引を締めくくったあと、「来年は資産所得倍増プラン元年としたい」と持論を述べたが、賃金上昇なきインフレが進み、実質所得が増えない状況で、どうやって資産をつくれというのだろう。


岸田首相は支持率が低下が甚だしい。その一因は、岸田氏がアベノミクスの「弊害」をみようとせず、最初は「令和の所得倍増計画」といっていたのに、いつのまにか、「資産所得倍増計画」に変わったことにもあると筆者はみている。(ほかにも多々ある。)


前に失礼を顧みず、来年の不安材料は、黒田日銀総裁と言ったが、再び失礼を顧みずにいうと、二番目は岸田首相になるかもしれない。ことによると、順番を入れ替えてもいいかもしれない。


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TOPIX銘柄は、比較的資本金が小さく、市場に出回る浮動株の比率が低い企業も入っている。アベノミクスの初期、小型成長株としてもてはやされたが、業績がぱっとしない企業=証券市場でゾンビ企業といわれる銘柄が少なからずある。


日銀はTOPIXに連動するETFを買うので、ゾンビ企業株もももれなく株を買ってもらえる。小型で浮動株比率が低いので、ゾンビ株は割高となり、結局は、TOPIXが割高になっていると考えられる。(東証もゾンビ企業を除外するよう手を打っているが、まだまだ居座っている。)


日経平均株価は各業界を代表する225銘柄で構成されている。日経平均株価に連動する株式先物は日本だけでなく米国(シカゴ)でも上場されており、米国株式市場との連動性(相関性)が高い。日経平均は米国株安に連れ安して、割安な値段がついているとも考えられる。


株式市場が景気を反映してるなら、日本の景気は日経平均よりはましだが、トピックスほどはよくないといったところだろう。


要するに、株式市場も金融市場(長短国債市場)同様に、日銀が市場介入をした結果、市場が価格(金融市場は金利)をみつける機能が低下しているのだ。


株価を押し上げることで景気を良くしようとしたアベノミクスの「弊害」である。
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蛇足
A株の収益率がB株のそれを上回った場合、オーバーパフォームした、平たく言えば、「勝った」という。証券業界では負け方が少なくてもオーバーパフォームするという使い方をする。
証券会社の営業が投資家にTOPIXに連動するETFをすすめたが、値下がりしたとする。投資家が、「君のすすめたTOPIX・ETFはだいぶ下がったじゃないか」と苦情をいうだろうが、その時には「いやいや日経平均ETFよりオーバーパフォームしています」という具合に使う。
なお、投資は個人責任で行うものであることは言うまでもない。

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