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仮想通貨の勝手採掘 最高裁 逆転無罪判決 「ウェブ広告と同じ収益あげる手段」をどうみる

(写真は元祖仮想通貨のビットコインを模したコインのようなもの。)


ウェブサイトの閲覧者のパソコンを無断で使って仮想通貨(暗号資産)を得ることが、違法かどうかが争われた刑事事件で、最高裁第一小法廷はウエブサイト運営者に対して、二審東京高裁の有罪(罰金10万円)判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。


このウェブサイト運営者は、「コインハイブ」という仮想通貨採掘プログラムを、サイトに埋め込み、閲覧者のパソコン(CPU)を使って(閲覧者の知らないうちに)仮想通貨の採掘(マイニング)をして、仮想通貨を得ていた。


「勝手採掘プログラム」を使ったウエブ運営者の捜査・摘発は、2018年ごろから警視庁、各県警が着手しはじめ、10県警が16人を摘発したといわれる。


摘発容疑は「不正指令電磁的記録に関する罪」にあたるというもの。コンピュータウイルスの作成や保管、供用(多くの人が使えるようにする)などに適用されることが多い。


摘発された当時から、「(勝手)採掘プログラム」に、コンピューターウィルスを想定した同罪を適用するのは難しいとの指摘があった。無罪確定にあたって、警察当局は謙虚に反省するべきだろう。


この事案で使われたプログラム「コインハイブ」について、筆者の知る範囲で説明する。


「コインハイブ」は仮想通貨「モネロ」の採掘を対象にしており、採掘の成功で得た収益は、3割を「コインハイブ」の開発チームが得て、7割をウェブサイト運営者に分配する仕組みだ。


モネロは仮想通貨の中でも秘匿性、匿名性が高く。誰が誰にモネロを支払ったのかを特定できない「ステルスアドレス」という技術が用いられている。


犯罪がらみの取引やマネーロンダリングにつながるおそれがあるため、国によっては「モネロ」の規制を強め、日本国内では2018年6月18日に取り扱いが廃止されている。


(「コインハイブ」は2019年3月にモネロが暴落したのを機に提供を終了している。)


二審高裁は「コインハイブ」が他者のパソコンを「無断利用」することを重くみて有罪としたが、最高裁はウエブ広告も本人の同意を得ていないとして、この点は問題にしなかった。


ウェブ広告と違って、「コインハイブ」は閲覧者が知らないうちに稼働する。


自分のパソコンが知らないうちにマネーロンダリングや犯罪がらみの取引に使われていてもいいのだろうか。


ネット上では「無罪判決を喜ぶ」一方で「無断利用はごめんだ」という意見もある。筆者の同感するところである。(コインハイブは前述の通り終了しているが。)


参考:1月21日付 日経新聞朝刊、朝日新聞朝刊 ウィキペディア
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最高裁判決の無罪とした理由は下の2点にある。(私見です)


1)勝手仮想通貨採掘ソフト=「コインハイブ」が閲覧者のパソコンに与えた影響は軽微であり(一説にはCPUの使用率50%以下)、事前の同意なしにウェブ広告をPC画面に表示させることと大きな差がない。


1)被告のウェブデザイナーは音楽サイトを運営しており、その運営費をまかなうためにコインハイブを導入しており、目的を考慮すると社会的に許容される範囲内である。


(2ヶ月で得た仮想通貨は800円相当だったとか。)

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