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日銀政策決定会合で 金利カーブ操作 早期見直しの意見 植田総裁はどう受け止める

日本銀行本館
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日本銀行は26日、6月15日、16日に開かれた「金融政策決定会合」における政策委員の主な意見を公表した。


同会合で政策委員の一人は長期金利(10年もの国債金利)の上限を0.5%とし、マイナス金利も許容するイールドカーブ・コントロール(YCC、長短金利操作)について、「(金融緩和政策の)ツールであるYCCについては、早い段階で、その扱いの見直しを検討すべきである。」と述べていたことがわかった。


この政策委員はその理由として「将来の出口局面における急激な金利変動の回避、市場機能の改善、市場との対話の円滑化といった点を勘案すると、コストが大きい。」ことを挙げている。


黒田東彦前日銀総裁の時代には、長短金利操作に表立って反対する委員は、昨年12月の長期金利の上限引き上げまではいなかった。


いまの国債市場は、昨年12月に比べると落ち着いているが、そういう時にこそYCCの見直しに動くべきとの主張ともとれる。YCC見直しはいまのところ少数意見だが、植田和男日銀総裁がどう受け止めるか注目される。


ふつうの中央銀行は短期金利を政策金利として、物価が上がれば政策金利を上げて、物価を抑制する方向に動く。ふつうの中央銀行は物価の上昇=通貨価値の下落を嫌うものなのだ。


一方、日銀は長期金利(10年もの国債金利)を政策金利とし、0.5%をその上限(下限はマイナス0.5%)としている。これで、物価上昇率2%を目標としている。


足元の物価上昇率は3%超だが、これに見合う10年もの金利0.5%が妥当かどうかはだれもわからない。ただ、市場が長期金利0.5%が物価上昇率に比べて低いとみれば、昨年の12月に起きたように、市場の国債売り圧力が強まり、日銀が長期金利を上げざるをえない状況がくるかもしれない。


長期金利を12月のように0.25%上げると、既発債の価格は少なくとも2.5%は下がる。(複雑な半年複利の計算になるが、簡単のため0.25✕10とする。)


この政策委員は「急激な金利変動の回避」を言っている。長期金利を政策金利とする限り、小幅の金利変動で大きな債券価格の変動を招くのは避けられない。それを考えての主張だろう。


ただし、この政策決定会合では、イールドカーブの早期見直しは少数派だったようだ。多数は「イールドカーブの歪みの解消が進んだほか、市場機能に改善もみられており、イールドカーブ・コントロールの運用を見直す必要はないと考える。」、「副作用に留意しつつ、金融緩和を続けることが適切である。」という意見だった。


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政策委員会では、先行きの物価見通しもテーマだったが、上ぶれリスクをいう政策委員もいれば、下ぶれリスクをいう委員もいる状況。総じて言えば、物価上昇率が日銀が目標とする2%を下回ることを期待する政策委員が多いようだ。そのほうが、金融政策の変更につながらないからだろう。

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