時代遅れの新聞読みブログ

前期高齢者が新聞(紙、電子)・ネットのニュースをフォローします。

京大・望月教授のIUT理論その後 欧米数学界は沈黙続く 日本は研究機関新設し賞金贈呈

宇宙際タイヒミュラー(IUT)理論が証明したと主張するABC予想。WIKIPZEDIAより
https://ja.wikipedia.org/wiki/ABC%E4%BA%88%E6%83%B3


+++++++


2023年7月、ドワンゴの創業者で実業家の川上量生(のぶお)さんが、京都大学数理解析研究所の望月新一教授が構築した「宇宙際タイヒミュラー(IUT)理論」について、間違いを証明した人に100万ドル(約1億5千万円)の賞金を出すと発表して話題を集めた。


それから半年以上たち、IUT理論を追っている朝日新聞の石倉徹也記者は4月20日付けの紙面に、「革命か幻想か、数学界揺るがす『望月理論』 ABC予想は解けたのか」というコラム記事を書いた。


当該記事によると、日本の外、とくに欧米の数学コミュニティからの「京大の研究所の中だけで正しいとされる理論」という評価は変わっていないようだ。
革命か幻想か、数学界揺るがす「望月理論」 ABC予想は解けたのか:朝日新聞デジタル


日本の外では議論は終わった感さえあるが、朝日新聞デジタルの4月2日付け記事は、ドワンゴと日本財団が出資するIUT理論の研究機関、「宇宙際(うちゅうさい)幾何学センター」が、望月教授らに、賞金10万ドル(1,500万円)の「IUT革新者賞」を贈ることを決めたと伝えている。(筆者は石倉記者)
京大・望月新一教授らに10万ドルの賞金 ABC予想の証明後初めて [京都府]:朝日新聞デジタル


記事を読んだ限りでは、「間違い証明に100万ドル」は別途、有効なようだ。しかし、筆者が思うに、ホントの数学者は他人の間違い探しをするよりも、自分の正しい理論を探求するのではなかろうか。なにはともあれ、IUT理論が、「日本(京大)の中でだけ正しい理論」にとどまらず、世界から正しい理論と認められる日がくることを願いたい。


付録 前にブログで書いたことだが、IUT理論が証明した「ABC予想」について、どんなものかを説明したい。


IUT理論によってフェルマーの最終定理も証明したと主張するが、この証明は「おまけ」のようなもので、正確には数論の難問とされる「ABC予想」を証明したというのが、IUT理論の核心部だった。


ABC予想は1985年に二人の数学者、ジョゼフ・オステルレとデイヴィッド・マッサーによって提起された。3つの互いに素である数の和と積の関係についての「予想」だ。


a + b = c
を満たす、互いに素な自然数の組 (a, b, c) に対し、積 abc の互いに異なる素因数の積をrad(abc) と表す。このとき、任意のk > 0 に対して、
c > d^(1+k) 注:d^(1+k)はdの(1プラスk)乗を満たす組 (a, b, c) は高々有限個しか存在しないであろうか?


(注:ウィキペディアから借用したABC予想の式はk ではなく、イプシロンε と置いている。)


2つ以上の数が互いに素というのは、1以外の約数を持たないということ。例えば、1と2、2と3、3と5は互いに素である。2と4は約数2を持つので、互いに素ではない。


高々を、数学用語で使うときは、日常つかっている「高々1000円にもならない」の「高々=せいぜい」ではない。高々有限個は、「多くても」有限個あるいはゼロという意味なのだそうだ。


手始めにa=1 b=2 とすると、c=3 で、1,2,3は互いに素である。
rad(abc)=rad(1*2*3)=6となる。
3<6なので、任意のkをいくらにとっても、不等式の向き< は変わらず、これは当てはまらない。


次に、a=2、b=3とすると c=5 で、2,3,5は互いに素である。
これも5<rad(abc)=2*3*5=30でイケない例だ。


不適切?な例ばかり紹介しても話が進まないので、
少し飛躍して、a=1 b=8 とおく。c=1+8=9
1,8,9は互いに素 8=2³ 9=3² なので
rad(1*8*9)=1*2*3=6


ここでk=0とおいた場合
c=9>6=rad(1*8*9)となり、>が成立している。


ただし、kは0でなく任意の値で成立するとしたのを思い出す必要がある。たとえば、k=0.2にした場合、6^1.2(6の1.2乗)=8.58<9なので、この不等式は成立する。


ところが、k=0.3とすると、6^1.3(6の1.3乗)=10.27 > C=9 で 不等号の向きは<になって成立しなくなる。


いまは関数電卓があるからべき乗の計算もラクできるのだが、なかったら、不等号の向きがひっくり返るkを求めるのも大変に違いない。


この続きは続編で


×

非ログインユーザーとして返信する