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風力発電に「価格破壊」先進欧州に近ずく 三菱商事など事業体 秋田県と千葉県沖の3カ所を取る

(拡大が期待される洋上風力発電 資源エネルギー庁ホームページ)


再生可能エネルギーの拡大に期待されている洋上風力発電について、三菱商事を中心とする事業体が「価格破壊」を起こし、エネルギー業界に衝撃を与えている。


昨年12月に国が公募した秋田県沖の2海域(能代市など沖、由利本荘市沖)と千葉県銚子市沖の計3海域で、発電規模は約170万キロワットにのぼる。完成は2028年以降だ。


政府が設定した上限価格は1キロワット時あたり29円だったが、三菱商事グループの売電価格は大きく下回る11・99~16・49円。公募には約20の電力会社を含む事業体が応募したが、多くは20円台以上の札をいれ敗退した。


朝日新聞記事によると、三菱商事は10年ほど前から欧州で洋上風力のプロジェクトに社員を派遣してきた。20年にはオランダのエネルギー企業を中部電力と約5千億円で買収した。


蓄積したノウハウを生かして、風力発電先進地の欧州(キロワット時=10円以下)に近い価格を提示できた、という。


政府は、2030年までに1000万キロワット、2040年までに3000~4500万キロワットという洋上風力の導入目標が掲げている。業界目標として2030~35年までに発電コスト8~9円/kWhにする目標を設定する。


再生エネルギーは太陽光発電と風力発電が大きな柱だが、山がちな地形の日本は太陽光発電の立地は限られており、そろそろ限界との説も聞かれる。


洋上風車は風任せといった難点や送電上の問題はあるが、大型蓄電池を利用して余剰時に電気を蓄え、安定的に送電する技術も開発されている。


日本は原子力発電の導入に力を入れる一方、風力発電は大手電力が片手間に手がけるぐらいだった。陸地、山上に造る場合、景観を損ねるとの反対運動が起きて断念した例もある。


日立製作所、三菱重工業などが発電用風車を造っていたが、2000年代に撤退してしまった。


2011年3月に東日本大震災=地震・津波による福島原発の事故が起きるまでは、政府の脱CO2の決め手は原子力発電を可能な限り使うことにあった。


今回三菱グループが使う風力発電機も米GE製1万2600万キロワット出力のものだ。
(全部で150基ほど使うことになる)


三菱グループ主体の事業体だが、注目されるのは、秋田由利本荘市沖の事業に秋田市に本社を持つ「ウェンティ・ジャパン」が参加していることだ。


北都銀行と羽後設備などが主体となって設立された地域企業で、風力発電事業やそのO&M(運営、保守)などを手掛けている。


ウェンティ・ジャパン、三菱商事エナジーソリューションズとシーテックの3社は、2020年5月に秋田市と潟上市の海沿いで稼働を開始した「秋田潟上ウインドファーム発電所」(6600キロワット)でも共同出資している。


地元企業が開発段階から参加し、完成後の保守、運営に携わることで、新しい地場産業として雇用を生むことも期待できる。


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洋上風力の設備は部品点数が1万~2万点といわれている。政府は洋上風力を成長産業と位置づけ、国内のサプライチェーン(部品の供給網)の構築をめざす。


風車も国産化してこそ、風力発電は純国産エネルギーとなる。政府も風力発電の部品の調達率向上を言っているが、2040年に60%と控えめな目標となっている。

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